[2023/2/4　栃木版]

　本年度2回目となる第184回県都市計画審議会(会長・大森宣暁宇都宮大学教授)が3日、県公館の大会議室で開かれた。付議された大田原都市計画道路の変更1件を審議して、「原案どおり議決」と決定した。また、県知事から次期「都市計画区域マスタープラン」の策定にあたっての基本的な考え方について諮問され、2026年2月の都市計画決定を目指して24年10月ごろにも最終的に答申することとした。

　議事に先立ち、県県土整備部の坂井康一部長は「本年は栃木県誕生から150年の節目を迎える。本県の魅力や個性を改めて認識する契機となり、こうした魅力をまちづくりに活かすよう、市町や委員と検討できればと思っている」と話したほか、付議案について「各委員の専門的な立場からご意見をいただきたい」とあいさつした。

　大田原都市計画道路の変更は、都市計画道路3・4・1号中田原美原線について、大田原市の交通の現状や将来の見通しを勘案し、交差点への右折付加車線設置や一部で道路線形の変更を行うものとなる。

　この路線は、大田原市中田原を起点、那須塩原市一区町を終点とする延長約4760mの幹線街路で、大田原市中心市街地の骨格を形成し、国道400号や461号などの一部にもなっている。構造形式は地表式、車線数は2車線、代表幅員は16.0mで、幹線街路とは8カ所で平面交差する。

　今回の変更内容は、3・5・1号元町中央線との交差点について、現計画では右折付加車線が設けられておらず、一般部と同じ幅員15.0mの計画となっていたが、交通のさらなる円滑化を図り、重要物流道路として指定されている本区間の安定的な輸送機能の確保・向上を図るため、幅員3mの右折付加車線を道路中央に設けて幅員18.0mとする。

　もう1カ所は、3・4・5号市役所通りとの交差点と3・5・1号元町中央線との交差点の間の区間で線形が屈曲している箇所について、より安全に走行できる線形にするとともに、快適な走行にも考慮する必要が生じていることから、この部分を自動車の走行軌跡に沿った曲線形とする詳細な設計を行った結果、道路の区域が明確となったため変更する。

　次期「都市計画区域マスタープラン」の策定にあたっての基本的な考え方は、都市のスポンジ化への対応をはじめとしたこれまでの都市づくりの課題に対し、自然災害の頻発・激甚化やカーボンニュートラルの実現、デジタル化の急速な進展などを背景とした人々の働き方・暮らし方の変化などの視点を考慮した基本的な考え方について、県知事から審議会に諮問された。

　都市計画区域マスタープラン(区域マス)は、都道府県が都市計画区域を対象に広域的な観点から定める都市計画で、概ね20年後の都市の姿を展望したうえで概ね10年以内の都市計画の基本的方向を定める。本県では2004年4月に当初の区域マスを定め、定期的に見直しを行い、現在の区域マスは25年度を目標年次として21年3月に定めた。次期区域マスは30年度を目標として、25年度に定める予定とする。

　検討内容は、次期区域マスの策定の基本的な考え方として▽目指すべき都市構造▽都市計画区域▽区域区分(線引き)-の3項目で、これを審議会で検討し、その内容に基づいて次期区域マスを策定する。なお「目指すべき都市構造」ではこれまでの課題について人口・産業・土地利用・交通量の現況などを検証し、自然災害の頻発化・激甚化やカーボンニュートラル、ポストコロナ、デジタル化の進展を背景とした働き方・暮らし方の変化などの視点から検討を加えて、目指すべき都市構造を検討していく。

　今後のスケジュールは、今回の審議会で諮問を受け、審議会での審議やパブリックコメントによる県民の意見を聞きながら、目指すべき都市構造などについて検討を進める。24年10月ごろに審議会から最終的に答申し、県はこれを受けて次期区域マスの原案を策定する予定。地元説明会や縦覧を行ったうえで案を作成し、26年2月ごろ県都計審に付議して、了承されたあと3月ごろに区域マスを策定したいとしている。

　なお、都計審の審議にあたっては内容が幅広く専門性も高いため、学識経験者から専門委員を選任し、十分に調査・検討した結果を審議会で審議することとした。

　このほか報告事項は、市町村の都市計画決定について、前回の第183回県都市計画審議会以降、22年7月28日から23年2月2日までに市町村が都市計画決定した案件を報告した。内訳は、宇都宮市が宇都宮都市計画の地域計画などで3件、真岡市が宇都宮都市計画の都市施設で1件、足利市が足利佐野都市計画の地区計画などで2件、那須塩原市が那須塩原都市計画の公園で1件の、計7件となる。