牽引企業を再募集 東山田・谷貝地区の用地開発(古河市)
[2023/1/24 茨城版]
古河市は、東山田・谷貝地区の未来産業用地開発事業で、地域経済牽引事業を行う企業を再募集を開始した。この事業は、同地区約20haの地権者で組織する「地権者協議会」が行うものだが、企業募集の手続きは市へ依頼している。市と地権者協議会が協力して立地企業の誘致を進める予定となる。募集期間は5月31日の午後4時まで。応募企業の中から市が書類審査を行い、地権者協議会(川上幸男会長)で決定する。審査結果は6月28日までに通知する予定だ。
昨年8月に実施した公募には2社が参加した。審査の結果、いずれの企業も条件を満たしていたが、2社による土地利用見込みでは、応募企業が希望した土地以外は農地としての利活用が難しくなり、十分な事業展開が見込めないと判断し、立地場所を決定できなかった。そこで市は事業者の再募集を行い、一定区域の土地利用が見込まれた時点で、立地企業間の土地利用の調整を図り立地場所を決定することにした。
応募条件は、▽基本計画に記載されている3要件を満たすこと▽新たな働き方への取り組みを進めて、人材育成、雇用の促進を図るとともに、積極的な地元雇用に努めること▽企業の社会的責任として、地域貢献、SDGs、カーボンニュートラルなど環境への配慮、防災・減災などの取り組みに積極的に努めること──とする。
基本計画に記載されている3つの要件をみると、要件1が地域の特性を活用すること([1]圏央道沿線地域の生活、自動車、生産用機械、プラスチック製品、金属製品、化学製品関連の産業の集積を活用した成長ものづくり分野[2]圏央道沿線地域に集積する筑波大学や産業技術総合研究所などの教育研究機関の高度人材を活用した成長ものづくり分野〔IоT、AI、ロボット関連産業など〕[3]圏央道沿線地域の高速道路や国道、鉄道などの交通インフラを活用した運輸・物流関連産業分野──のいずれかに該当すること)。
要件2は、高い付加価値を創出すること(付加価値増加分が5092万円超)。要件3は、取引額が5.2%増加、売り上げが5.2%増加、雇用者数が6.7%または3人増加、雇用者給与等支給額が11.2%または2300万円増加のいずれかの経済的効果が見込まれることを求めている。
東山田・谷貝地区は、首都圏から60km圏内で、最寄りの駅はJR宇都宮線の古河駅となる。圏央道の境古河ICからは約3km、新4号国道からは約3kmに位置する。面積は約21.8ha。これを南北に通る都市計画道路で分けた場合、産業用地としての利用は東側エリアが約7.3ha、西側エリアが約10haと想定される。現況は主に田で、市街化調整区域・農業振興整備計画上の農用地区域となっている。
企業決定後のスケジュールは、6月を目途に用地買収に向けての合意形成を図り、23年度中の契約を目指す。また、8月までに地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画の承認および土地利用調整計画を策定して県の同意を得るとともに、地区計画の策定に着手し、10月ごろの決定を目指す。本年度は農地転用と開発行為の許可の取得に向けて進めていく考えだ。
未来産業用地開発事業は、市の未来に向けた新たな産業用地を創出する事業で、昨年6月に国から地域未来投資促進法に基づく茨城県圏央道沿線地域基本計画に「東山田・谷貝地区」を追加する計画変更の同意を得た。このため、昨年8月に地権者協議会を設立し、地権者説明会で今後の事業の進め方について説明した。地権者は約90人余りで、今後は開発のための用地買収に向けて、地権者の合意形成を図っていく。用地交渉に関しては地権者協議会からの依頼により、市を通して行う予定だ。
書類の提出先・問い合わせ先は、市企画政策部プロジェクト推進課(電話0280-92-3111)まで。