年度内に計画策定 新処分場併設の学習施設整備(県資源循環推進課)

[2023/1/20 茨城版]
 県資源循環推進課は新処分場に併設する学習施設の整備を進めている。現在は基本計画の策定に向けて検討委員会(委員長・阿部治立教大学名誉教授)で内容を協議している段階にある。これまでの検討から、施設の目標として、▽学び、行動する次世代を育成▽地域間交流の促進▽県民全体の意識を醸成──を掲げる。学習テーマは、廃棄物と資源循環の推進や自然環境の保全と共生などを盛り込み、展示学習や体験学習、交流・啓発活動で展開していく計画。施設の規模や整備計画などは、17日に非公開で開催した第3回検討会で審議した。同課では年度内にも基本計画を策定し、来年度から基本設計に着手する見通しとなっている。

 この事業は日立市内に整備を行う新最終処分場の併設施設として、環境学習施設を整備するもの。基本計画の策定にあたり、これまでに2回の検討会を開催している。なお、基本計画の作成業務はトータルメディア開発研究所(東京都台東区)が担当する。

 検討内容をみると、整備の方向性については、環境に関する総合的な理解を促進することに加え、同施設を拠点とした地域間交流を図り、県内全域に波及できるような広がりをもった環境学習を提供できる場を目指すと説明。そのため、目標には、▽学び、行動する次世代を育成▽地域間交流の促進▽県民全体の意識を醸成──を掲げ、持続可能な社会の実現に向けた効果的な環境学習を行うことを示した。

 環境学習のテーマについては、新処分場に併設するという特性を活かし、廃棄物を主なテーマとした学習から自然環境の保全、地球規模の環境問題まで、3つのテーマに発展する環境学習を展開していく。各テーマごとに展示学習や体験学習、交流・啓発活動の側面からアプローチすることになる。

 このうち、廃棄物と資源循環に関する展示学習では、日々の生活と廃棄物との関わりや、資源循環と廃棄物処理の仕組み、循環型社会の形成などの内容を盛り込む。資源循環については、3Rや廃棄物処理の仕組みなどを解説する。さらに新処分場の併設施設という特性を活かし、新処分場の施設そのものを循環型社会形成に係る実物展示と捉え、廃棄物処理の現場を実感しながら、新処分場の役割と必要性を学ぶ施設見学を行う方向性を示した。展示手法としては、実物やグラフィック空間、映像演出などの展示を想定している。また、体験学習には廃材・素材を利用したリサイクル工作などを計画する。

 自然環境の保全に関する展示学習では、身近な自然環境や、生物多様性の重要性、環境保全の取り組みなどを取り上げる。このうち、身近な自然環境については、同施設の整備地である日立市諏訪町には、高鈴山を源とする鮎川や諏訪梅林、諏訪の水穴など、豊かな地域資源が存在していることを指摘。展示では、これらの地域資源に加え、生息する生き物や同地周辺に存在するカンブリア紀の地層などの紹介を行うとした。展示手法は、実物や模型、デジタル技術を活かした展示などを想定。体験学習には、地域資源を活かした自然学習プログラムとして、ネイチャーゲームや動植物の観察会、間伐材を利用した工作などを展開していく。

 地球温暖化への対応では、展示学習として、日々の生活との関係性や、温暖化防止などを説明する。特に温暖化防止では、国内外の動向を紹介するなど、対策への理解を深める展示を行う。あわせて、新処分場全体で再生可能エネルギーを活用し、仕組みや使用状況の見える化を図る。また、かみすわ山荘や諏訪梅林などの周辺地域資源において、再生可能エネルギーを利用した外灯などの整備を検討していく。このほか、体験学習ではエコ実験や工作体験プログラムを想定。交流・啓発活動では、環境団体や行政などとの連携をはじめ、環境保全活動などの普及・促進、周辺地域との交流も盛り込んだ。

 第3回検討会では、施設整備計画や整備・管理運営計画などを協議した。内容は、施設の規模や基本的な考え方などとなる。検討した内容については、近く公開する予定となっている。

 基本計画については年度内にも策定し、整備の方向性を決定する。なお、基本計画策定後は、担当が県資源循環推進課から県環境保全事業団へと変更となる。そのため、基本・実施設計と建築工事についても同事業団からの発注を予定しているという。

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