水道事業の広域化推進プラン素案 7ブロックで施設統合など検討(千葉県)
[2023/1/19 千葉版]
千葉県は18日、水道広域化推進プランの素案を明らかにした。7つのブロックごとに実施した広域化シミュレーションの結果を踏まえ、浄水場や配水場の統合など、広域化の推進方針のほか、具体的な取り組みが盛り込まれている。2月からパブリックコメントを実施し、年度内の策定を目指す。
県水道事業運営審議会(会長・滝沢智東京大学大学院工学系研究科教授)で県総合企画部水政課が報告した。県は、2019年に策定した「千葉県版水道ビジョン」の統合・広域連携の方向性に基づき、「千葉県水道広域化推進プラン」の策定を進めている。
水道ビジョンで設定した8つのブロックのうち、統合済みの君津ブロックを除く7つのブロックごとに、現状の分析と末端給水事業体が単独で事業継続した場合の将来見通しの予測を行った。
その結果、現行の料金水準では将来的な資金不足が予測される事業体が多く、持続的な経営を継続していくためには、計画的な水道施設の更新とともに水道事業の独立採算制の原則を踏まえた適切な料金水準の検討が必要との結論が出された。
個々の水道事業体の取り組みのみでは限界があるため、多様な広域化の手法を検討。ブロックごとに▽管理の一体化▽施設の共同化▽経営の一体化▽事業統合──の4パターンについて、シミュレーションを実施し、課題を抽出した。
それらの結果を踏まえ、各ブロックの実情に応じた末端給水事業体の広域化の推進方針や、当面の具体的な取り組み内容を定めている。
その概要をみると、九十九里・南房総ブロックでは、リーディングケースとなる「九十九里・南房総地域の用水供給事業体と県営水道の統合」を推進する。
九十九里ブロックでは、将来の事業統合を視野に、経営の一体化を目指すとともに、浄水場や配水場などの施設の統廃合を検討している。
南房総ブロックでは、夷隅、安房両地域それぞれの統合協議会で、25年度の事業統合に向けた協議を続けるとともに、施設の統廃合を検討していく。
京葉ブロックでは、水道事業のあり方について、ブロック内の11市と県企業局とともに理解・納得が得られるよう、地域共通の考え方を整理。経営の安定に資する取り組みの検討を継続する。
北千葉・印旛・香取・東総ブロックでは、管理の一体化や施設の共同化案などについて、地域の実情を踏まえた検討を続ける。
印旛ブロックでは、リーディングケースにならった用水供給事業の統合を要望している。これと併行して末端給水事業のあり方についても検討していく。
香取ブロックでは、香取市が進めている簡易水道統合の進ちょく状況を踏まえて検討を継続。東総ブロックでは、東総広域水道企業団との垂直統合についても検討を始める。
水道事業の統合・広域化を推進するため、19年1月に国は都道府県に対し、水道広域化推進プランを本年度末までに策定することを要請している。