一宮川水系流域治水マスプラ検討 水害対策計画も(千葉県)

[2023/1/18 千葉版]
 千葉県は、甚大な浸水被害を受けた一宮川水系で、流域治水マスタープランの検討に乗り出す。河川整備と流域水害対策を含めた総合計画となるもので、これに基づき、国からの財政支援を受けながら、流域治水を推進していく方針だ。県一宮川改修事務所は、検討業務について、簡易公募型プロポーザルの手続きを進めており、予算の上限は3640万円となっている。

 同業務では、一宮川水系の地域特性のほか、2019年の豪雨や過去の豪雨、気候変動の影響などを踏まえ、実効性の高い方策案を検討する。

 具体的には▽業務計画▽流域治水マスタープラン案と流域水害対策計画案の作成▽一宮川流域治水協議会の企画運営補助▽専門家へのヒアリング▽先進事例の調査▽報告書の作成──などを担当する。履行期間は2024年3月25日まで。

 プロポの資格要件として、県建設工事等入札参加業者資格者名簿(建設コンサルタント)に登録されていることなどを求める。26日まで参加表明書、3月1日まで技術提案書をそれぞれ受け付け、同9日のヒアリング審査を経て、技術提案書を特定する。

 一宮川流域では、19年10月25日の大雨(令和元年豪雨)により、茂原市や長柄町、長南町で家屋約4300戸、官庁舎2棟、要配慮利用者施設など、甚大な浸水被害を受けた。

 過去30年間で4度目となる浸水被害を踏まえ、令和元年豪雨と同規模の降雨に対して、河川整備と流域市町村が実施する内水対策や土地利用施策が連携した「一宮川流域浸水対策特別緊急事業」を進めており、29年度末までに、家屋や主要施設の浸水被害ゼロを目指す。

 併せて、気候変動による豪雨の頻発化・激甚化に備え、流域内のあらゆる関係者の協働による「一宮川水系流域治水プロジェクト」を推進。河川整備としては、中・下流域で河道断面の拡大や一宮川第二調節池の増設、上流域・支川で河道改修、輪中堤など浸水防止対策、一宮川第三調節池の新設などを計画している。

 上流域・支川の輪中堤外地や中流域の内水氾濫区域では浸水リスクが残る。気候変動により、令和元年豪雨を上回る豪雨などに対して、流域内の上・中・下流域それぞれで浸水リスクがあるため、流域治水マスタープランの検討を進めていく。

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