［2023/1/18　茨城版］
　県国土利用計画審議会(会長・谷口守筑波大学教授)は13日、県庁で本年度の審議会を開催した。県知事から諮問された県土地利用基本計画(計画図)の一部変更に伴う14件の議案を審議し、いずれも「異議なし」と答申。今回の変更は、工業団地の造成や公共施設の整備、太陽光発電施設の設置などに活用することが理由となる。主なものとしては、下妻市で古沢地区に工業団地を整備することや、鉾田市で子育て・コミュニティセンターの整備などを盛り込んだ。

　この審議会は国土利用計画法に基づき、県土利用の基本となる計画の策定・変更などについて、県知事の諮問に基づいて調査・審議するもの。土地利用上の課題に対応した県土利用を進め、良好な生活環境の確保と県土のさらなる発展を目指すという基本的な目標の達成に向け、重要な役割を担う。

　県土地利用基本計画は、県国土利用計画に示された将来像を実現するための土地利用の調整方針を定めたもの。計画図と計画書の2つで構成し、計画図は都市地域、農業地域、森林地域、自然公園地域、自然保全地域の5つの地域の状況を地図上に表している。

　各地域の個別法の許可や区域の指定は、それぞれ個別法に基づく審議会で審議されるが、その結果により土地利用の状況に変化が生じることから、この審議会に諮り土地利用計画図を変更する。

　今回は、農業地域の縮小で2件、農業地域の拡大で1件、森林地域の縮小で11件の案件を審議した。主な内容をみると、農業地域の縮小は下妻市と鉾田市で行う。

　このうち、下妻市では工業団地造成を行うため、農業地域の縮小を実施する。対象地は古沢地区の農業地域37ha。今回の変更は、当該地区が「農村地域への産業の導入の促進などに関する法律」による産業導入地区に位置付けられたことから、用途地域(工業専用地域)を指定して新たな工業団地として計画的な土地利用を図ることが理由となる。

　今回の整備は、市内の工業団地が完売したことを受けて、新たに工業団地を整備するもの。新工業団地の名称は(仮称)しもつま中央工業団地。本年度は用地買収や関係法令に基づく許認可申請などを行い、来年度の着工を目指していく。

　鉾田市では、子育て・コミュニティセンターの整備を行うため、農業地域の縮小を実施する。対象地は飯名地内の3ha。今回の変更は、鉾田市の情報発信による交流人口の呼び込み、地場産業の認知度向上を目的として、当該地区に子育てコミュニティセンターの建設を予定しており、都市構造に沿った用途地域(第二種住居地域)を指定し、中心部の適正な土地利用を誘導することが理由となる。

　現在は施設の基本・実施設計をまとめている段階にある。今後は、造成工事を23年度に行い、本体工事を23-24年度で実施する。開館時期は25年の10月を予定している。

　このほか、森林地域の縮小の内訳は、複合施設建設1件、倉庫新設工事1件、太陽光発電事業9件となる。なお、今回審議した14件で139haの区域が変更。これにより、県全体の森林地域は18万7426haとなった。

　委員からは、太陽光発電の維持管理や撤去方法、整備地での災害対策、流域治水の取り組みなどの質問が出た。

　以下、審議対象となった案件の内容は次の通り(▽所在地＝[1]事業内容[2]事業主体[3]変更面積)。
【農業地域の縮小】
▽下妻市古沢地区＝[1]用途地域の拡大(工業団地造成)[2]下妻市開発公社[3]37ha
▽鉾田市飯名＝[1]用途地域の拡大(公共施設整備)[2]鉾田市[3]3ha
【農業地域の拡大】
▽鉾田市鉾田および安房＝[1]用途地域の区域境界における不整合箇所などの見直し[2]鉾田市[3]3ha
【森林地域の縮小】
▽日立市川尻町＝[1]保育園・幼稚園等複合施設[2]社会福祉法人愛孝会[3]3ha
▽古河市柳橋字北原＝[1]倉庫新設工事[2]影山倉庫[3]2ha
▽潮来市島須＝[1]太陽光発電事業[2]みずほ設計[3]2ha
▽潮来市古高＝[1]太陽光発電事業[2]SBエナジー[3]2ha
▽常陸大宮市八田字小山＝[1]太陽光発電事業[2]萩原工業[3]2ha
▽常陸大宮市山方字湯ノ沢＝[1]太陽光発電事業[2]NRE-42インベストメント[3]13ha
▽常陸大宮市長田字寺内＝[1]太陽光発電事業[2]エムズ・エステート[3]4ha
▽那珂市下江戸字栗林＝[1]太陽光発電事業[2]アフターフィット大和那珂太陽光[3]44ha
▽筑西市玉戸字谷島＝[1]太陽光発電事業[2]エネグローバル[3]3ha
▽かすみがうら市大和田字矢口前＝[1]太陽光発電事業[2]DMM.com[3]3ha
▽つくばみらい市大和田＝[1]太陽光発電事業[2]TSUKUBA　Solar[3]18ha