全ての工事を対象に 建設現場の遠隔臨場 試行要領改定して適用(栃木県土整備部)
[2023/1/12 栃木版]
県土整備部は、「建設現場の遠隔臨場(監督)に関する試行」の要領を改定して、10日から新たな要領による運用を開始した。新たな要領では、対象工事を原則として全ての工事としたほか、費用負担についても「発注者指定型」や「受注者希望型」の区別を廃止し、全て設計変更で共通仮設費に積上げ計上できるよう一本化する。このほか、ウェアラブルカメラを「動画撮影用のカメラ」、映像と音声の双方向通信を「Web会議システム等」など、国の要領にあわせて表現を一部修正している。この要領は、10日以降に起工する工事から適用する。
費用負担は設計変更で積上げ計上
県土整備部は、同部が発注する土木工事の建設現場で「段階確認」、「材料確認」と「立会」を必要とする作業に遠隔臨場を適用し、受注者の手待ち時間の削減や確認書類の簡素化と、発注者(監督職員)の効率的な時間の活用などを目指して、建設現場の遠隔臨場(監督)に関する試行要領を策定。2020年10月10日から試行を実施し、20年度と21年度で43件実施している。
今回は、この試行要領を改定して、新たな要領の下で試行を実施する。主な改定内容を見ると、まず対象工事について、これまで「遠隔臨場に必要とする機器の準備と運用が可能であり、かつ効果の検証及び課題の抽出が期待できる工種を対象」としていたが、新たな要領では「県土整備部が発注する原則全ての工事を対象」とする。ただし、通信環境が整わない現場や映像による確認が困難な工種などはこの限りとしない。
試行にかかる費用の負担は、旧要領で「発注者指定型」と「受注者希望型」を設定していたが、新たな要領ではこれを一本化し、設計変更で共通仮設費に積上げ計上する。なお、「発注者指定型」では試行にかかる費用の全額を共通仮設費に積上げ計上して、当初設計では計上せず設計変更時に計上。「受注者希望型」では、試行にかかる費用の全額を受注者の負担としていた。
遠隔臨場(監督)の試行要領は、県土整備部が発注する土木工事の建設現場で「段階確認」、「材料確認」と「立会」を必要とする作業で受発注者の作業効率化を図るとともに、契約の適正な履行として施工履歴を管理するため▽適用の範囲▽遠隔臨場に使用する機器構成と仕様▽遠隔臨場による段階確認等の実施及び記録-を定める。
適用の範囲は、所定の性能を有する遠隔臨場の機器を用いて、「栃木県土木工事共通仕様書」に定める「段階確認」、「材料確認」と「立会」を実施する場合に適用する。受注者は遠隔臨場の実施にあたり、施工計画書及び添付資料に▽適用種別▽使用機器と仕様▽段階確認等の実施-を記載し、監督職員の確認を受けなければならない。
対象工事は、県土整備部が発注する原則全ての工事とするが、受発注者協議を行い▽山間部等で通信環境が整わない現場▽映像による確認が困難な工種▽遠隔臨場に必要な機器の準備や運用が困難な場合-の工事については、対象としないことができる。
遠隔臨場に使用する動画撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラ等)の資機材は、受注者が準備、運用するものとし、受注者は遠隔臨場の実施にあたって必要な準備をしなければならない。機器の手配は基本的にリースとし、その賃料を計上することとするが、やむを得ず購入せざるを得ない機器がある場合は、その購入費に機器の耐用年数に対する使用期間割合を乗じた分を計上することとする。また、受注者が所持する機器を使用する場合も、基本的には同様の考え方とする。
工事の取り扱いとして、新規発注工事は特記仕様書に遠隔臨場の対象工事であることを明示する。施工中の工事は、受注者に要請し試行可能の回答が得られた場合は、設計変更により試行することも可とする。また受注者から遠隔臨場試行の希望があった場合は、受発注者間で協議し、特段の事情がない限り設計変更により試行することも可とする。
なお、この要領を適用した遠隔臨場の実施の有無は、受発注者双方の作業効率化等を目的として実施され、通常の現場臨場と同様に施工履歴を管理し契約の適正な履行を確認するための臨場であることから、実施の有無を工事成績評定の「創意工夫」などで評価対象とはしない。
詳しくは、県ホームページ(http://www.pref.tochigi.lg.jp/h02/pref/enkakurinjyou/20201010.html)に記載する試行要領を確認すること。