バイパス案を採用 国道6号小美玉道路で検討会(常陸河川国道)

[2022/12/23 茨城版]
 国土交通省常陸河川国道事務所が事務局を務める国道6号小美玉道路検討会(委員長・岡本直久筑波大学教授)は19日、同事務所で第3回会合を開催した。今回の会合では、概略計画案などを審議。このうち、小美玉道路の整備ルートについては、2案を検討した結果、バイパス(一部現道拡幅)案〔立体構造(盛土・切土)〕を採用することを承認した。今後は、概略計画案を地域住民に周知するとともに、関東地方小委員会に概略計画案を報告した後、概略計画を策定する見通しだ。

 この検討会は、国道6号の県内2車線区間のうち、未だに都市計画決定されていない小美玉市内の10km区間について、構想段階の検討を進めるために設置したもの。検討会は有識者や県、沿線市町(石岡市、小美玉市、茨城町)らで構成。茨城空港アクセスや周辺地域の交通課題などに関する検討・調整を行うことで、小美玉道路の構想段階における地域の細かなニーズを把握し、住民・関係者らの理解を得たより良い計画を実現することを目的とする。

 事務局を代表してあいさつに立った同事務所計画課の須藤勝課長は、審議内容を説明したうえで、「委員の皆さまには、各審議事項について、それぞれの視点から意見や助言を述べてほしい。それらの意見を踏まえ、小美玉道路での概略計画の策定に向けて取り組みたい」と述べた。

 今回は複数案の比較評価や附帯事項、概略計画案などを審議した。このうち、整備ルートについては、これまでに提案されていた現道拡幅(一部バイパス)案とバイパス(一部現道拡幅)案の2案で比較検討を行った。

 2案の内容をみると、現道拡幅案は国道6号(現道2車線)を4車線に拡幅するもの。ただし、起点側については、千代田石岡バイパスとの接続を考慮し、国道6号竹原下郷交差点付近まではバイパスとして整備する。道路構造は平面構造とし、事業費は約800億円から約900億円と試算している。

 一方、バイパス案はバイパスを立体構造とし、地域に流入する通過交通を排除する案となる。千代田石岡バイパス終点部から国道6号巴川渡河部付近までを沿道からのアクセス制限を基本としたバイパスとして整備する。また、茨城町との市町境までについては、国道6号を4車線に現道拡幅していく。事業費については、約700億円から約800億円となる。

 比較の際には、混雑の緩和や物流の効率化など、19の評価指標をもとに検討を行った。その結果、バイパス案は現道拡幅案に比べ、▽混雑の緩和▽物流の効率化▽空港アクセスの円滑化▽災害に強い緊急輸送道路の確保▽緊急医療施設への搬送時間の短縮▽沿道環境の改善▽効果発現──などの面で優れていることが判明。さらに、バイパス案では支障となる家屋数が少ないため、比較的早期実現が可能であることや、経済性の面からも優れているため、バイパス案を採用することになった。

 バイパス案の付帯事項としては、▽まちづくりの地域計画などを踏まえ、側道などの設置区間などの検討▽バイパスと国道6号現道の合流箇所の交通処理の検討▽農業への影響の軽減策の検討▽新たな地域分団による地域コミュニティへの影響の軽減策の検討▽現道の地域活性化の検討──などを盛り込んだ。

 委員からは、「バイパスを整備する際には、現道を地域コミュニティのためにどう活用するのかもあわせて検討していく必要があるのでは」や「バイパス案と現道拡幅案で具体的に速達性にどの程度の違いがあるか示すことはできないか」などの意見が出ていた。

 今後は第3回の検討内容をまとめ、来年1月にもニューズレターを発行し、沿線地域住民に対して周知を図っていく。その後、関東地方小委員会に概略計画案を報告し、概略計画を策定することになる。計画策定後は、沿線自治体の協力のもと、詳細ルート・構造の検討を進める見通しだ。

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