名蓋川の治水計画盛る 河川整備計画を改正 多田川圏域7河川(宮城県土木部)
[2022/12/20 宮城版]
宮城県大崎地域で洪水被害が相次いでいる多田川圏域の川の治水に関し、河川整備計画の見直しに向けた宮城県の有識者会議が12月19日、宮城県自治会館で開かれた。多田川圏域に含まれる名蓋(ぶた)川が7月豪雨災害で氾濫したため、宮城県土木部は多田川圏域河川整備計画を昨年の秋以来、改正する。
河川整備計画の改正に向けて開かれたのは、本年度1回目となる「多田川圏域河川整備学識者懇談会」(座長・田中仁東北大学総長特命教授)。計画の見直しに当たり、宮城県は川や環境、水質などの専門家に意見を聞いた。2023年2月までに2回の会合を開き、22年度中に計画の最終案を固める。
現行の計画には、大崎地域を流れる川の治水、環境保全などに関する方針が盛り込まれている。対象となる川は▽多田川▽渋川▽境堀川▽渋井川▽名蓋川▽大江川▽長堀川──の7河川で、管理延長は約69.7km。
7河川は鳴瀬川水系の支流で、鳴瀬川が増水した際、バックウォーター現象の影響を受けやすい。近年では渋井川の堤防が15年の関東・東北豪雨、19年の東日本台風で決壊した。このため、渋井川の河口に水門と排水機場を新設することになり、21年9月に河川整備計画を改正した。
7月豪雨災害では名蓋川の堤防が決壊し、大崎市古川矢目地区で甚大な洪水被害が発生した。宮城県は別の有識者会議を経て名蓋川の復旧方針を決めたことから、それらの方針を盛り込んで河川整備計画を再度改正する。
名蓋川では計画流量(毎秒40立方m)を上回る毎秒58立方mの水が流れたとみられ、越水と堤防への水の浸透によって決壊した可能性が高い。そのため、宮城県が今回示した素案では、名蓋川の計画流量を毎秒60立方mに設定。治水の目標を「22年7月の大雨で発生した洪水に対して浸水被害の防止・軽減を図ることを目標とする」と明記した。
また、河川整備については流域全体で「流域治水対策」を推進し、関係機関と調整を図りながら浸水被害の軽減を図っていくとの方針を盛り込んだ。
有識者会議は、来年2月に2回目の会合を開く予定。土木部は今後、公聴会などを開いて沿川住民の意見を聴取し、それを反映した修正案を2回目の会合で示す考え。その後、沿川自治体の首長らの意見を反映させ、本年度中に最終案を固める。改正した計画は、23年度に公表する。