みやび建築工房で建屋設計 旧笊川に排水機場(宮城県土木部)
[2022/12/9 宮城版]
浸水対策重点地域緊急事業として旧笊(ざる)川の河口に新設する排水機場について、宮城県土木部は建屋の設計をみやび建築工房(仙台市若林区)に委託する。12月8日に開札した設計の指名競争入札を、同社は227万円で落札した。名取川との合流地点付近に、S造平屋255平方mの建屋を建設する。
主に仙台市太白区の市街地を流下している旧笊川は、2015年の関東・東北豪雨、19年の東日本台風で氾濫し、流域で床上浸水などの洪水が起きた。このため、宮城県と仙台市は役割を分担し、21年度から浸水対策重点地域緊急事業を進めている。排水機場の建設や河道の掘削、橋の架け替えなどを、25年度末までに完了させる方針だ。
宮城県の事業では、名取川との合流地点に近い太白区袋原字北河原に排水機場を新設する。仙台南部道路・長町インターチェンジの南側に当たる同地には、国が過去に樋門や遊水地、越流堤などを整備した。
排水機場は樋門の左岸側に建設する予定。吸水槽や沈砂池などの土木構造物を整備し、そこにポンプ設備を設置する。建屋は土木構造物の近接地に建設を予定し、配置案を検討している。名取川が増水した場合は、旧笊川に逆流しないようゲートを閉め切り、あふれる水を名取川に放流する。
建屋の建設に向けて、宮城県は8日に「旧笊川排水機場建屋新築設計業務委託」の指名競争入札を行った。7社が応札し、みやび建築工房が227万円で落札した。履行期間は23年3月30日までだが、県議会の議決を得て6月30日まで延長される予定。建屋はS造平屋255平方mの規模を想定し、内部にモーターなどの電源設備を収める。
土木部は21年度末に「旧笊川排水機場詳細設計業務委託」を建設技術研究所(東北支社・仙台市青葉区)に委託した。排水機場には毎秒9立方mの水を排出できるポンプを設置する考え。陸上型の立軸斜流ポンプを軸に、型や設置台数を検討している。
排水機場の整備は、23年度ごろから土木構造物の工事に着手し、吸水槽や吐水槽などを施工する予定。土木構造物の進捗を見定めながら、次に建屋の建設、ポンプなどの機械設備、電気設備の工事に着手していく。