[2022/12/3　栃木版]

　那須塩原市は、新庁舎建設基本計画の改定案を明らかにした。新庁舎はユニバーサルデザインや防災対策機能、太陽光発電などの環境配慮機能、情報通信技術などを導入し、免震構造を採用。敷地面積は3万平方ｍで、庁舎の延べ床は1万7000平方ｍを試算する。建設工事費は、概算で113億4600万円に変更。スケジュールは2023～24年度に基本設計、24～25年度に実施設計を策定し、26～27年度に建設工事を実施する。事業発注手法は、引き続き検討するとしている。

来年度基本設計、26年度にも着工

　市の新庁舎整備事業は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるデジタル化移行の必要性を踏まえ、2018年度に策定した新庁舎建設基本計画を見直す。

　新庁舎の建設予定地はJR那須塩原駅近隣の前弥六南町7-1外で、敷地面積は概算で3万平方ｍとなっている。基本方針は▽親しみやすい便利な庁舎▽交流によるまちづくりの拠点となる庁舎▽防災拠点となり、市民の安全を守る庁舎▽環境負荷の低減に配慮した経済的で効率的な庁舎▽市民に開かれた庁舎-としている。

　「親しみやすい便利な庁舎」に関して、窓口サービスでは本庁機能を新庁舎に集約し、窓口機能を1階フロアに集中させて仕切りを設けた窓口カウンターや個別の相談スペースを設ける。バリアフリー・ユニバーサルデザインへの配慮に向けては、キッズスペース、授乳室、多目的トイレを適切に配置し、雨天時でも雨にぬれずに移動できるよう、屋根など駐車場の動線を計画する。案内板等の標示は、文字の大きさや色彩等に配慮するとしている。

　このほか、将来の組織機構改革に対応できるよう、ユニバーサルレイアウトを導入する。フリーアクセスフロアを導入し、柱の数をなるべく少なくする建築工法を検討する。オンラインサービスやテレワークを実施可能な環境も整備する。

　「交流によるまちづくりの拠点となる庁舎」では、喫茶コーナーや談話スペースを設け、地場産材を活用した市民交流スペースを配置する。このほか、銀行ATMや売店等を配置し、新庁舎周辺にさまざまな施設を誘導できるよう配慮する。

　「防災拠点となり、市民の安全を守る庁舎」では、災害対策本部機能を強化し、大型モニターや防災情報システム、通信機器等を設けた災害対策室を設置する。災害時に備え、職員が休息できる環境も整備する。このほか、耐震性の高い電気設備や給排水設備、太陽光パネル等を活用した自家発電によるバックアップ電源、防災備蓄倉庫なども整備する。

　「環境負荷の低減に配慮した経済的で効率的な庁舎」では、太陽光発電設備、蓄電池、充放電設備、省エネ機器、高効率機器などを導入し、雨水や自然採光も有効活用する。空調設備は、地域の気候・風土を生かした換気を活用する。庁舎はシンプルで親しみやすいデザインで、周辺景観の調和を図る。緑地はイベントや災害時の一時避難所にも活用できるよう配置し、一部を駐車場に利用できるよう計画する。

　「市民に開かれた庁舎」では、番号発券機、電子案内モニター、タブレット端末など情報通信技術を有効活用する。議会は、さまざまな手法や場所で中継が閲覧できるよう整備。議場は傍聴者が全体を見渡すことができるようにし、誰もが傍聴席まで移動しやすい動線を設ける。

　新庁舎の耐震性能は、構造体がI類、非構造部材がA類、建築設備が甲類で免震構造を採用する。庁舎の規模は延べ床1万7000平方ｍと試算し、市民交流スペースを1階、議会機能を最上階に配置する。

　新庁舎正面は敷地南側を向き、都市計画道路3・3・6弥六通りからの主動線、安全な動線を確保する。庁舎正面から南に、緑地の設置を計画する。駐車場は敷地北側にある市有地も活用し、駐車場の規模は来庁者用(常設)が約270台、来庁者用(臨時)が約80台、議員・公用車・職員用が約150台の、計約500台としている。

　新庁舎の建設工事費は、基本計画策定時に算定した工事費を物価上昇を見込んで再試算し、113億4600万円とした。このうち、建築工事費は108億4600万円、外構工事費は5億円(車庫棟含む)を見込む。

　新庁舎建設後の既存庁舎のうち、本庁舎は建物を解体して、跡地を売却することを基本とする。西那須野庁舎は、地域の実情に応じた業務の提供のほか、有事の際の防災拠点としての機能を備えるものとして改修する。また西那須野図書館の機能を移転して、図書サービスを提供するスペースとして活用することを基本とした。塩原庁舎も地域の実情に応じた業務の提供のほか、防災拠点としての機能を備える。