上流区間の早期整備を 女沼川改修で県土木部に要望活動
[2022/12/3 茨城版]
女沼川改修整備促進期成同盟会(会長・針谷力古河市長)は11月30日、県庁を訪れて田村央土木部長に女沼川改修の整備促進を求める要望書を手渡した。要望では現在整備を進めている釈水水門からつくば古河線までの下流区間に加えて、上流側となる才塚橋から国道354号までの区間についても早期に整備に着手することを求めた。これに対し、県では現在の進捗を説明するとともに、上流区間の用地取得を引き続き進める考えを示した。
この期成同盟会は、古河市と古河市議会、市内の土地改良区・行政区などで構成し、女沼川の整備促進を目的としている。当日は針谷会長と鈴木隆市議会議長らが県庁を訪れて、田村部長に対して要望活動を行った。
女沼川は、古河市東牛谷新堀地先にその源を発し、丘里工業団地を経由し、古河市を南に流下した後、東部幹線排水路(都市下水路)と合流し、釈水水門から利根川に注いでいる。この河川の改修では、1991年度から広域一般河川改修事業(現総合流域防災事業)として、釈水水門からの5.5km区間で事業に着手した。
しかし、地域開発に伴う流量の増加や集中豪雨などによって、越水による水害がたびたび発生。特に15年9月の関東・東北集中豪雨や19年9月の台風19号では、女沼川流域においても住宅家屋の浸水や農作物への被害など、多くの影響があった。今後も大規模な自然災害が発生することが予想されることから、同会では、市民の生命と財産を守るため、県に対して女沼川の整備促進を求めている。
今回の要望では、▽つくば古河線才塚橋から国道354号までの区間における整備促進▽事業の早期整備を図るため、事務所の施工体制の充実──の2項目を要望した。
冒頭には針谷市長が要望の主旨と事業の進捗に触れたうえで、今後は古河線才塚橋から国道354号までの区間での整備が必要との考えを示し、女沼川の改修に対して特段の配慮を求めた。
これに対し、県側から事業の進捗状況を説明。県では事業区間5.5kmのうち、下流側の釈水水門からつくば古河線までの3.7kmを優先区間に位置付けて、事業を進めている。これまでに用地取得を行うとともに、掘削と築堤、市道橋7橋の架け替え、伏越4基の整備などを実施。このうち、河川整備では川幅を現況の3倍に広げるほか、河床の高さも現況よりも深くする計画で進める。進捗率については、21年度末の事業費ベースで、約79%となる。
つくば古河線才塚橋から国道354号までの上流部1.8km区間については、現在の河川が新幹線高架下を横断しているため、河川を大きく切り替える整備を計画。そのため、県では新たに用地を取得する区間と位置付けて、整備を進めていると説明した。
本年度の事業費は、国土強靭化計画に係る事業費として5億3000万円を確保。主に市道橋である日下部橋の架け替えに伴う迂回路設置工事や橋梁下部工、河道拡幅工事、上流区間の用地取得費などにあてている。
このうち、上流区間の用地取得状況は、必要とする用地約4万5000平方mのうち、約半分が取得済となったという。また、日下部橋については、迂回路の築造がほぼ完了し、近く交通を振り替える予定となっている。
今後のスケジュールは、北日下部橋を含め、優先区間の橋梁の架け替えや河川改修工事を進めていく。上流区間については、引き続き用地を取得していく予定だ。