週休2日制は27% 担い手確保工事の実施状況(県検査指導課)
[2022/11/30 茨城版]
県土木部が発注する建設業の担い手確保・育成に資する工事について、本年度上半期の実施状況が分かった。対象となるのは、完全週休2日制促進工事とICT活用促進工事、快適トイレ普及促進工事、ASPなどで、各工事ごとに実施件数を明示している。それによると9月末現在、週休2日制は111件で実施し、実施率は27.7%となり、昨年度の実施率を上回る状況にある。県検査指導課では、1年半後に迫る建設業の時間外労働の上限規制への適用に対応するため、実施率の向上に向けてさらなる取り組みを推進していく考えだ。また、ICT活用促進工事では62件、快適トイレは165件、ASPは613件で実施している状況にある。
完全週休2日制促進工事は、本年度の上半期に111件で行い、実施率は27.7%。昨年度は実施件数が248件で実施率は23.2%であった。実施率を比較すると、昨年度よりも上昇しており、着実に取り組みが進んでいる状況にある。
実施率が上昇した要因のひとつとして、昨年10月に実施要領を改定したことが挙げられる。昨年の改定では、完全週休2日制の振替要件の緩和を実施。具体的には、「土曜日の振替現場閉所日は、翌週内に設けることも可能とする」と「事前に協議を行えば悪天候が理由であっても、振替閉所日として認めることとする」の2点となる。これらの緩和を受けて、週休2日の取り組みが進み、受注者の意識も高まっている状況にあるのではないかと、担当者は分析している。
加えて、本年10月には発注者指定型を新設した。3000万円以上の土木工事の大半が対象となるため、本年度下半期の実施率はさらに高まることが想定される。なお、県検査指導課では、24年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されることを踏まえ、さらなる利用促進に向けて、受発注者にアンケートなどの調査を行い、課題解決に取り組んでいく考えだという。
ICT活用促進工事の状況を見ると、本年度の上半期は62件で、実施率は27.1%となった。21年度の実施件数は109件で、実施率は39.8%。昨年度よりも実施率が下がったのは、本年4月からチャレンジいばらき簡単活用型を導入したことが要因となる。簡単活用型では、1000立方m以下の土木工事でもICT施工が実施可能となるため、対象件数が大幅に拡大し、実施率は下がった。ただし、実施件数に注目すると、昨年度を上回るペースでICT活用に取り組んでいる状況にある。引き続き、簡単活用型の活用を促すなど、今後もICT活用を促進していく予定だという。
快適トイレ普及促進工事では、本年度の上半期に165件で取り組み、実施率は35.8%となる。昨年度は432件で実施し、実施率は35.3%であるため、実施率は昨年度を上回った。快適トイレについては、昨年度から要領上の変更はなく、これまでのルールを踏襲している状況にある。
ASPについては、本年4月から県土木部発注の営繕工事を除くすべての工事で原則適用となっている。上半期に実施した工事946件のうち、ASPは613件で活用した。活用できなかった工事をみると、主に除草工事での実施率が低いことが判明。今後はさらにASPの活用を促進するため、要領改定などを視野に入れて検証していくという。
県検査指導課の担当者は、週休2日制について、「実施率を上げることが目的ではなく、建設業で週休2日が当たり前になることが重要だと考えている。今後も課題を検証しながら、段階的に週休2日が標準になるよう取り組んでいきたい」と話した。