汚水処理施設を統合 30年間で約3割の削減目指す(県下水道課)

[2022/11/29 茨城版]
 県下水道課は生活排水ベストプランの改定を進めている。現行計画から改定する主なポイントとしては、広域化・共同化の推進として、汚水処理施設の統合を進めることを示した。統合の際には、施設の受け入れ容量や施設間の距離などを踏まえて実施する。計画では、今後30年間で約3割の削減を目標に掲げている。10日に開催した土木企業立地推進委員会で県が明らかにした。

 生活排水ベストプランは、生活環境の改善や公共用水域の水質保全を図ることを目的に、下水道や農業集落排水施設、合併処理浄化槽といった汚水処理施設を最も効率的に配置して、整備・維持を進めるための整備構想。この計画は概ね5年ごとに見直しを行う。現行計画は16年度に改定を行っており、このほど4回目の改定を進めている状況にある。

 今回の改定では、人口減少や厳しい財政状況などの社会情勢の変化に対応するため、地域特性や市町村の意向を踏まえ、汚水処理施設の整備・管理運営計画の一部を見直す。具体的には、汚水処理施設の統廃合を進めていくことになる。

 県内の汚水処理施設は現在、279施設が存在する。内訳は下水道処理場が42施設、農業集落排水が198施設、し尿処理等が39施設となる。

 統合する数については、30年間で約3割の削減を目標に設定。統合の方法としては、老朽化や設備の更新時期を迎えつつある農業集落排水やし尿処理などを中心に施設を廃止し、周辺に整備された下水道管へ接続することで、下水道処理場などと統合していく。そのため、この統合は基本的には既存施設を活用するものとなり、新たな施設を整備することは想定していない。統合する基準としては、施設の受け入れ容量や施設間の距離、地形などを総合的に判断して決定する。

 なお、し尿施設を下水道処理場と統合する場合には、そのままでは生物処理が難しいため、し尿を希釈する施設などを設置していく計画となる。

 廃止後の各汚水処理施設の活用については、汚水を集めて下水管へ送り出すポンプ設備や、防災倉庫への活用などを想定。詳細については、生活排水ベストプラン策定後、個別に検討していくことになる。

 汚水処理施設の統廃合によるコスト縮減効果については、今後30年間で約510億円におよぶと試算している。施設の統合をしない場合、各施設の老朽化に対応するための更新費や維持管理費が30年間で約4830億円となる。一方、施設を統合する際には、新たな管渠の布設や、し尿を希釈する施設の整備などが必要になるが、トータルコストは約4320億円で、大幅な縮減が見込めるという。

 同課ではこの生活排水ベストプランを23年3月に策定する予定。そのため、来月上旬からはパブリックコメントを実施し、県民の意見を広く求めていく。意見の募集については、県ホームページへの掲載や、下水道課、行政情報センター、各県民センターでの閲覧を予定している。

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