2025年1月に送電線着工 銚子市沖の洋上風力発電(海洋再エネ整備協議会)
[2022/11/22 千葉版]
銚子市沖における海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に関する協議会の第4回会合が11月21日、千葉市内で、オンラインと併用で開かれた。年1回は開催することなど今後の協議会の進め方について合意したほか、事業者に選定されたコンソーシアム「千葉銚子オフショアウィンド合同会社」の担当者が事業概要を説明した。地元企業の参入に向け、年初にも具体的な商談会を開催、25年1月に陸上工事、27年2月に洋上工事に着工する予定だ。
協議会の会合は20年6月以来で、今回から発電事業者が協議会のメンバーに加わった。
事業概要の説明によると、発電設備は、着床式洋上風力発電。発電設備出力は計39.06万kW。銚子市の沖合に設置している実証機の約2倍の大きさとなるゼネラル・エレクトリック(GE)製洋上風力発電機「ハリアデX」を31基設置する。
地盤調査のうち、音波による物理調査は6月までに完了。今後は来年春までにボーリング調査を実施、最終的に、風車と海底ケーブルの配置を決定する。
建設工事の元請会社は、風車の製造・納入がGE、洋上工事が鹿島建設とバン・オード(オランダ)、陸上工事がシーテック。操業・保守のうち、風車管理はGE、洋上設備は北拓、船舶の保有・管理は日本郵船、陸上系統はシーテックが担当する。
スケジュールについては、25年1月に陸上工事に着工、東京電力・新佐原変電所(香取市)まで約55kmの送電設備を整備する。洋上工事は27年2月に着工、28年9月の運転開始を見込む。運転期間は28年9月~52年1月。
千葉銚子オフショアウィンド合同会社の伊原弘雅プロジェクトダイレクターは、「“つぎ”を創る」をコンセプトに、新しい形の発電事業を目指す考えを表明。「元請だけでは施工できない大規模な工事は、地元の企業にもお願いしたい」「メンテナンスは、銚子協同事業オフショアウインドサービス(C-COWS)と連携し、地元に落ちるようにしたい」と述べ、協力を求めた。
また、地域共生施策については、「一過性ではない持続可能な、地元として自立する施策が重要と考えている」と述べ、漁業振興基金への出捐など漁業支援や、早期の人材育成などC-COWS支援、サプライチェーンの構築、元請企業や人材トレーニングセンターの誘致など名洗港の有効活用に取り組む考えを示した。
サプライチェーンの構築については、県が10月に主催した陸上工事サプライヤー向け事業説明会に135社が参加。現在、その他工事サプライヤー向け分野別事業説明会の開催を協議している。地元工事の発注については、来初にも具体的な商談会を開催する。
会合では、地元漁業関係者が、「工事や調査前にしっかりと説明や情報提供をお願いしたい」などと発言。
銚子市の越川信一市長は、新たな漁場のデザイン、地元企業の活用、特産品の販路拡大などの実現に期待を示し、内水面漁業への影響調査、景観への配慮をあらためて求めた。
協議会は、事業の進捗などを確認するため毎年1回は開催。次回会合では、漁場実態調査の進捗状況などについて報告するとともに、基金を活用した取り組み以外の共生策の調整、取り組み状況について選定事業者が報告することにしている。
銚子沖(3948.7ha)の洋上風力発電事業については、再エネ海域利用法に基づき発電事業者を公募。昨年12月に事業者として、千葉銚子オフショアウィンドを選定した。構成員は三菱商事エナジーソリューションズ、三菱商事、シーテックの3社。
三菱商事は今月1日、国内では35年ぶりなる支店を、銚子市内に開設している。