着工は来年度から 市民運動公園野球場の改修(日立市)
[2022/11/17 茨城版]
日立市は市民運動公園野球場の改修に向けて、基本・実施設計を進めている。この事業は施設の老朽化や狭あい化などから改修や改築工事を行うもの。このうち、基本設計については22年3月に策定した。その後、9月からは実施設計に着手。現時点で当初の計画から施設の規模などで変更があるという。今後は年度内に実施設計をまとめたあと、23年度から着工し、25年度中の供用を開始を目指して工事を進めていく予定だ。
市民運動公園野球場は1972年に完成し、事務所(延べ499平方m)やスタンド(延べ1750平方m)、両翼94m(中堅120m)のグラウンドなどが立地している。東日本大震災時には、バックネット裏にある2本のコンクリート柱が破損するなど、グラウンドなど施設内外に大きなダメージを受けたが、同年6月までに復旧工事が完了した。
完成後約50年が経過するなど老朽化が進み、バリアフリー化や女子トイレの不足、施設の狭あい化などの問題もある。特にバリアフリー化やトイレの不足では、改修するためのスペースがないことなども課題となっていた。17年度に策定した長寿命化計画によると、メインスタンドや内野スタンドなどの主要施設や各トイレなどが10年以内に更新が必要だと指摘されている。
このため、改築も視野に入れた規模拡大を計画。都市公園法の制約や施設を使用しながらの工事が必要となるため、20年度には基本計画を策定し、整備の方向性をまとめた。
基本計画では、全国大会や関東大会などのスポーツ大会が開催できる広域交流拠点施設を目指すとした上で、整備目標には市民の誰もがスポーツ・レクリエーション活動に親しむことができる「市民スポーツの拠点」、プロ野球や社会人野球などを観戦できる「観るスポーツの拠点」、市民が憩い、災害時の避難拠点としての役割も担う「市民の集う憩いの都市公園」を掲げた。
施設整備に当たっては、19年度に整備したスコアボードを活用しながら、既存野球場を改修する。老朽化が進んだメインスタンドと内野スタンド(鉄骨部)は、改修や増築による整備が難しいことから改築し、ユニバーサルデザインに基づき観覧席と諸室の一体的な整備を行う。これにより、観覧席は現在の約1万2000人から、約1万5000人以上に拡大する。
フィールド部は、プロ野球の試合誘致へ外野スタンドを改修して両翼100m(中堅122m)ほどに拡張。安心・安全な施設利用を図るための飛球対策用防球ネット整備や、夜間利用が可能となるよう照明設備の設置、都市公園機能の拡充(市民の憩いの場の整備)なども行う。これらの整備面積は、建築面積約3200平方m(外野スタンド含む)、延べ面積約4100平方m(観覧席・外野スタンド含む)を想定している。
21年度には、プロポーザルで選定したINA新建築研究所(東京都文京区)と契約を結び、基本設計を策定。9月からは、実施設計の策定作業を進めている。実施設計は年度内にまとめたあと、23年度には解体工事から着手し、メインスタンドの改築やフィールド拡張などを進めていく。順調に進めば、25年度中にも施設全体を供用開始する予定だ。