来年度に基本設計 都賀西方新分署 約12億円で25年度着工(栃木市)

[2022/11/16 栃木版]

 栃木市は15日までに、(仮称)都賀・西方分署整備基本計画の素案をまとめた。それによると、建設候補地には西方町元地内の一般県道上久我栃木線沿いを選定。事業スケジュールは、2022年12月~23年2月に測量、23年6月~10月に造成実施設計、23年6月~24年2月に基本設計、24年4月~25年3月に実施設計を策定して、24年9月~25年3月に造成工事を予定している。庁舎や訓練塔の新築工事は25年8月~26年9月、資機材倉庫や危険物倉庫の新築工事は26年1月~26年8月、外構工事は26年10月~12月に行い、27年2月にも新分署を開庁する見通しとしている。事業費は、12億2500万円と試算している。

 市の消防署は、岩舟分署を除いていずれも施設や設備の老朽化・狭あい化が進んでいるほか、1981年以前の旧耐震基準の施設であり早急な改善が必要となっている。市は、現在の6署所体制を変更して5署所体制にし、栃木地域、大平地域、岩舟地域、藤岡地域、都賀および西方地域にそれぞれ配置する考えで、現在は栃木地域の消防本部庁舎を整備している。

 今回、整備基本計画をまとめているのは、都賀分署と西方分署を統合した(仮称)消防署北部分署となる。分署の規模は、都賀分署と西方分署の合計や岩舟分署から試算し、庁舎は事務室や各機能で延べ床1000平方m、訓練塔は100平方m、資機材倉庫兼備蓄倉庫は200平方m、危険物倉庫は10平方m、駐輪場が20平方mと想定した。

 また敷地規模は、岩舟分署から検討して3000~5000平方mとしている。建設候補地は3カ所から検討した結果、東に市道53077号線、西に一般県道上久我栃木線と接する西方町元地内を選定した。

 配置計画は、敷地中央に庁舎を配置し、東の市道沿いに北からヘリの離発着が可能なヘリ活動エリア、資機材倉庫、危険物倉庫を配置する。敷地北側には、ヘリ活動エリアと庁舎に囲まれるように訓練塔を含む訓練エリアを配置する。庁舎西側には、県道と接するように車両点検スペースを配置。庁舎南側には県道と接するように、来場者駐車場(20台)を設ける。

 庁舎の構造は1~2階建てで、S造の架構形式とする。耐震性能はI類、非構造部材はA類、建築設備は甲種とする。防災に向けては防災用の井戸の設置を検討し、庁舎の床レベルは浸水を回避する高さに計画する。

 諸室配置は、車庫を1~2階とし1階に会議室や出動準備室、2階に仮眠室や浴室・脱衣室などを設ける。また、来庁者エントランスからわかりやすい位置に事務室や会議室を配置。案内板・階表示・サイン等の配置、段差解消などでユニバーサルデザインやバリアフリーにも配慮する。

 仕上げ材は維持管理や清掃性に配慮したものとし、ハード部分は耐久性重視、来庁者スペースは県産木材を使用するなどとしている。仮眠室は個室とし、女性専用の仮眠・更衣・浴室も設置する。感染症拡大防止対策で、救急の出動線や消毒・資機材庫は車庫内の救急車に隣接した位置とし、消防用排ガス排出装置も設ける。

 部屋の間仕切り壁は可能な限り乾式工法の壁やパーティションとし、将来のレイアウト変更にも低コストで対応できるようにする。事務室の床はフリーアクセスフロアとする。

 設備は、防災拠点とするため蓄電池設備を設置する。経済性への配慮では▽高効率設備システムの構築▽自動制御設備で設備管理▽全熱交換機の採用を計画▽外気処理ユニットで室内環境を制御▽節水型衛生器具の採用▽エコケーブルの採用-などを導入する。電気設備はLEDを基本とし、昼光・人感センサー制御を検討する。

 このほか▽雷保護で避雷突針、棟上げ胴体、避雷器▽屋外キュービクルの設置▽トップランナー変圧器▽太陽光発電装置の屋上配置▽一般来庁者向けに、デジタルサイネージ機能の発電表示装置の設置▽現動機を使用した発電機の設置▽電波・ソーラー電池等の時計を配置▽会議室にデジタルワイヤレスシステムを採用した映像音響システムの設置を検討▽事務室内にアンプの設置を検討▽トイレ呼出装置、外部受付用インターホンを必要箇所に計画▽監視カメラを庁舎入口や訓練塔に配置-なども行う。

 機械設備は、空調を高効率型電気式マルチパッケージ型空気調和器と直形コイル式全熱交換機で、換気設備を直膨コイル付全熱交換機で計画する。トイレは自動洗浄や個別換地方式の器具を採用し、給水設備は受水槽と加圧給水装置で計画する。雨水排水は敷地内で貯留・浸透処理を検討し、建物内は汚水・雑排水分流方式で屋外桝で合流させ、農業集落排水に放流する計画。給湯設備はエコキュートによる貯湯敷急騰方式、乾燥設備は据置形赤外線放射衣類乾燥機を設置する。

 概算事業費は12億2500万円で、内訳は建設(消防庁舎、資機材倉庫兼備蓄倉庫、訓練塔、駐輪場、危険物倉庫)が8億1800万円、外構(敷地造成、舗装、植栽、囲障、雨水排水施設、耐震性貯水槽)が1億5000万円、設計・監理(基本設計、実施設計、解体設計、地質調査、監理計画通知手続きなど)が7800万円、解体(旧都賀分署、旧西方分署)が8000万円、その他(用地取得、備品、消防指令通信機器など)が9900万円としている。

 現在の都賀分署は1972年4月の建設で、RC2階建て・延べ床290平方m。また西方分署は1972年4月の建設で、RC2階建て・延べ床289平方mとなっている。新庁舎完成後には解体する計画で、26年9月~27年3月に設計を策定し、2庁舎とも27年6月~10月に工事を行う
としている。

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