事業者を再募集に 東山田・谷貝地区の用地開発(古河市)
[2022/11/15 茨城版]
古河市が実施していた東山田・谷貝地区における産業用地開発の企業募集について、再募集を行うことが分かった。9月30日まで受け付けていた公募には、2社が参加。審査の結果、2社とも立地要件を満たしていると地権者協議会(川上幸男会長)が判断した。しかし、2社だけでは十分な地域経済牽引事業の展開が見込めないため、事業者を再募集することになった。市では今後、再募集についての条件などを整理し、年度内にも再募集を行う予定だ。
この事業は、同地区約20haの地権者で組織する地権者協議会が行うもの。ただし、企業募集の手続きは市へ依頼している。市と地権者協議会が協力して立地企業の誘致を進めていくことになる。
今回の募集に提出された書類を審査したところ、2社の実施予定事業は、▽地域経済牽引事業の要件(基本計画に記載されている3要件)を満たしていること▽積極的な地元雇用に努めること▽企業の社会的責任に積極的に取り組むこと──などの要件を満たしていた。
しかし、今回の土地利用見込みで事業を進めた場合には、応募企業が希望した土地以外は農地としての利活用が難しくなると想定されるという。そのため、現状では応募企業の立地場所を決定できない状況にある。これを受けて市では、事業者を再募集して一定区域の土地利用が見込まれた時点で、立地企業間の土地利用の調整を図り立地場所を決定することにした。
基本計画に記載されている3つの要件は、要件1が地域の特性を活用すること([1]圏央道沿線地域の生活、自動車、生産用機械、プラスチック製品、金属製品、化学製品関連の産業の集積を活用した成長ものづくり分野[2]圏央道沿線地域に集積する筑波大学や産業技術総合研究所などの教育研究機関の高度人材を活用した成長ものづくり分野〔IоT、AI、ロボット関連産業など〕[3]圏央道沿線地域の高速道路や国道、鉄道などの交通インフラを活用した運輸・物流関連産業分野──のいずれかに該当すること)。要件2が高い付加価値を創出すること(付加価値増加分が5092万円超)。要件3が取引額が5.2%増加、売り上げが5.2%増加、雇用者数が6.7%または3人増加、雇用者給与等支給額が11.2%または2300万円増加のいずれかの経済的効果が見込まれることを求める。
今後は国で進めている地域経済牽引事業計画の根拠となる地域未来投資促進法の見直し作業の進捗状況に沿って、事業者の再募集を行う考え。市としては年度内にも再募集を行う見通しだという。
東山田・谷貝地区の面積は約21.8haで、首都圏から60km圏内、最寄りの駅はJR宇都宮線の古河駅となる。圏央道の境古河ICからは約3km、新4号国道からは約3kmに位置する。現況は主に田で、市街化調整区域・農業振興整備計画上の農用地区域となっている。
企業決定後には、用地買収に向けての合意形成を図り、契約を締結する。また、地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画の承認および土地利用調整計画を策定して県の同意を得るほか、地区計画の策定に着手・決定するとともに、農地転用と開発行為許可の取得を進めていく。
未来産業用地開発事業は、市の未来に向けた新たな産業用地を創出する事業で、6月に国から地域未来投資促進法に基づく茨城県圏央道沿線地域基本計画に「東山田・谷貝地区」を追加する計画変更の同意を得た。このため、8月7日に地権者協議会の設立総会を開催するとともに、2回目の地権者説明会を実施して事業の進め方について説明した。同地区の地権者は約90人で、今後は開発のための用地買収に向けて、地権者の合意形成を図っていく予定だ。