概算費は36億円に 新文化施設 岡田新一で実施設計(茨城町)
[2022/11/12 茨城版]
茨城町は2日、新たな文化的施設整備の実施設計業務について、基本設計を担当していた岡田新一設計事務所(東京都文京区)と随意契約を締結した。締結した金額は税込7920万円で、工期は23年10月31日に設定している。基本設計を策定した時点での概算事業費は36億円と試算。これは省エネ設備の導入や建設資材の高騰などを見込んで本体工事費が増額したことなどが理由となる。今後は年度内に、建設予定地となる中央公民館の解体設計と跡地の造成設計を策定するほか、近く測量業務を発注する予定。23年度は解体工事と造成工事に着手し、26年4月の供用開始を目指す。
文化的施設整備事業は、中央公民館が東日本大震災で大きな被害を受けたことを踏まえ、新たな文化的施設を整備するもの。建設場所は町役場庁舎西側の中央公民館大ホールで、既存施設を解体後に整備する。
基本設計を策定した段階で、施設全体の構造・規模はRC造一部S造3階建て、延べ3560平方mとなる。具体的な施設機能には、▽ホール機能▽活動支援機能▽交流促進機能▽施設運営機能▽共通機能──の5機能を盛り込む。
このうち、ホール機能では合唱や演奏、演劇などの文化活動や大規模な式典に対応できるよう、ホールやホワイエなどを配置し、延べ1462.7平方mの規模を想定する。ホールは移動観覧席297席、スタッキングチェア195席の計492席を確保。舞台形式はプロセニアム形式を基本としながら、平土間形式への転換も可能とし、ダンスや軽運動、パーティーなどの活用ができるものとしている。
活動支援機能には音楽スタジオや軽運動室、会議室などを配置し、床面積は285平方m。このうち会議室には、備品として移動式の和室の設置を予定。交流促進機能では、多目的室やラウンジ、屋外イベント広場、テラスなどで延べ531.7平方m。また、本年度開催したワークショップの意見を受けて、飲食のできるカフェの設置を検討している。
施設運営機能には、事務室とキッズルーム、創作スタジオ、トイレなどで延べ173.1平方mを確保する。このうち創作スタジオには調理台を設け、料理教室や理科教室が開催できるものとする。このほか階段や廊下、倉庫、トイレ、授乳室、機械施設、エレベーターなどの共通機能で、延べ1104.9平方mを見込んでいる。
文化的施設は指定避難所としての役割を担うため、施設の耐震化や不燃化を実施するなど、災害時の防災拠点としての機能も備える。特に屋外イベント広場は、雨天時でもぬかるまない舗装を施し、緊急車両などの寄り付きにも配慮する「防災広場」として整備する。また環境面への配慮として、外皮の高断熱化や地中熱の有効活用など省エネルギー設備による環境負荷低減を図るほか、今後は太陽光発電システムの設置による再生可能エネルギーの活用や、雨水貯留槽の設置なども検討していく。
施設整備全体の概算事業費は総額36億円に設定。このうち本体工事費は、断熱設備など省エネ設備の導入で機械施設の整備費用が大きく増額したことや、物価高騰による建設資材の高騰も見込み30億円を想定する。解体・造成工事費は8000万円、外構工事費は2億円となる。測量・地質調査委託料1000万円、基本・実施設計と工事監理委託料の合計が1億6000万円で、このほか備品購入に1億5000万円を予定する。
今後のスケジュールは、実施設計業務のなかで、既存施設の解体設計と建設地の造成設計を策定するほか、近く建設地の測量業務を発注して年度内に完了させる。設計策定後は、解体と造成工事を23年度に、本体・外構工事は24年度から25年の秋ごろまでに行う予定で、26年4月の供用開始を目指す。