国土強靱化に1兆円 補正予算第2号 物価対策や安全・安心確保を(国交省)

[2022/11/11 栃木版]

 2022年度補正予算(第2号)が概算閣議決定されたのを受けて、国交省は同省関係の第2次補正予算の概要を明らかにした。国費総額は2兆0216億円(デジタル庁一括計上分を含む)で、うち公共事業費が1兆6132億円、非公共事業費が4084億円。このうち防災・減災、国土強靱化の推進には公共・非公共をあわせて1兆1169億円、自然災害からの復旧・復興の加速に同じく3314億円を配分する。なお、現下の資材価格の高騰を踏まえた公共事業の実施については、各項目を実施するための個々の事業の中で必要な経費を措置している。

 今回の補正の基本的な考え方は、10月28日に閣議決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」で掲げられた▽物価高騰・賃上げへの取り組み▽円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化▽「新しい資本主義」の加速▽防災・減災、国土強靱化の推進、外交・安全保障環境の変化への対応など、国民の安全・安心の確保-の4つの柱について、各項目の実施に必要な経費を計上した。

 「物価高騰・賃上げへの取り組み」では、エネルギー・食料品などの価格高騰で厳しい状況にある生活者・事業者への支援のほか、エネルギー・食料品などの危機に強い経済構造への転換に必要な経費を計上。「円安を活かした地域の『稼ぐ力』の回復・強化」では、コロナ禍からの需要回復、地域活性化に必要な経費を計上した。

 「『新しい資本主義』の加速」では、構造的賃上げに向けた一体改革や成長分野での大胆な投資の促進などに必要な経費を計上。「防災・減災、国土強靱化の推進、外交・安全保障環境の変化への対応など、国民の安全・安心の確保」は、防災・減災、国土強靱化の推進や自然災害からの復旧・復興の加速などに必要な経費を計上した。

 具体的に主な施策を見ると、「物価高騰・賃上げへの取り組み」ではこどもエコすまい支援事業に公共で国費1500億円を盛り込み、子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修などを支援する。道路施設の省エネルギー化等の推進にも公共で42億円を予算化して、道路照明のLED化などを実施する。

 「円安を活かした地域の『稼ぐ力』の回復・強化」では、地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化に非公共で国費1000億円と国庫債務負担行為で500億円を計上し、宿泊施設、観光施設等の改修、廃屋撤去、面的DX化などの取り組みを計画的・継続的に支援できるよう制度を拡充する。

 生産性向上に資する道路ネットワークの整備等には、公共で213億0100万円を予算化して、広域交通拠点とのアクセス道路などの地方を支える産業の生産性向上に寄与する道路の整備などを推進する。また、我が国産業の競争力強化等に資する港湾整備にも、公共で74億7600万円を配分する。

 コンパクトでゆとりとにぎわいのあるまちづくり、都市公園の整備、水辺空間の創出では、公共で89億3800万円、非公共でも1億8100万円を計上する。住宅市場安定化対策事業(すまい給付金)には、非公共で356億円を追加し、給付措置の実施に必要な財政上の措置を実施する。

 「『新しい資本主義』の加速」では、建設技能者のスキル向上・処遇改善に向けた建設キャリアアップシステムの導入促進事業に非公共で55億円を盛り込み、カードリーダーの設置コストを削減する。建設・交通分野における研究開発型スタートアップ支援にも、非公共で22億円を予算化した。

 インフラ、交通、物流等の分野におけるGXの推進には、公共で63億2700万円、非公共で13億6700万円、さらに財政投融資で200億円を投入して、物流施設における再エネ関連施設の一体的な整備支援やまちづくりにおける再エネ施設の導入支援、住宅金融支援機構による政府保証債(グリーンボンド)の発行などを実施する。

 「防災・減災、国土強靱化の推進、外交・安全保障環境の変化への対応など、国民の安全・安心の確保」では、「流域治水」の推進に公共で2430億7900万円、非公共で1億8000万円を追加。事前防災対策を一層加速化するとともに、本年に発生した大雨などによる浸水被害を踏まえ、新たに取り組む必要が生じた対策も推進する。

 公共施設等の耐災害性の強化には、公共で92億2100万円、非公共で48億7400万円を計上。広域防災拠点等となる都市公園の機能を確保するとともに、災害応急対策の活動拠点となる官庁施設の電力の確保対策などを実施する。

 災害に強い国土幹線道路ネットワークの機能強化対策は、公共で1729億5300万円を予算化して、高規格道路のミッシングリンクの解消や直轄国道とのダブルネットワークの強化などを実施する。また、道路インフラの局所的な防災・減災対策等には公共で622億円を計上する。

 盛土による災害の防止
は、公共で6億8800万円を追加し、盛土の詳細調査や応急対策工事などへの支援を実施する。河川・ダム、道路、都市公園、鉄道、港湾等の重要インフラに係る老朽化対策では、公共で1635億6100万円を投入し、重要インフラで早期に対策が必要な施設の修繕を集中的に実施する。

 デジタル技術を活用したインフラの整備、管理等の高度化等の推進では、公共で162億5600万円、非公共で30億4100万円を予算化。ITなどを活用した道路管理体制の強化、現場管理等の効率化のためのICT環境整備、施工の自動化・遠隔化の基準類策定に向けた現場検証などを実施する。

 地域における防災・減災、国土強靱化の推進(防災・安全交付金等)は、流域治水対策や道路ネットワークの機能強化、インフラの老朽化対策、地籍調査の推進などに向け、公共で3025億0300万円、非公共で25億円を確保する。

 河川、砂防、道路、港湾、鉄道、公営住宅等の施設の災害復旧等は、公共で3313億2500万円、非公共で7600万円を予算化。子供の安全な通行の確保に向けた道路交通環境の整備等の推進には公共で220億円を追加し、通学路の交通安全対策等を引き続き推進する。

 このほか、国庫債務負担行為は、ゼロ国債に事業費777億円を設定し、効率的な執行を促進する。事業加速円滑化国債は22年度支出予定額含め事業費837億円で、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策に基づく大規模事業などの計画的で円滑な事業執行を促進する。

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