道路維持を効率化 全事務所で新システムの試行(県道路維持課)

[2022/11/11 茨城版]
 県道路維持課では業務の効率化に向けて、県道路維持管理支援システムの導入を進めていることが分かった。このシステムは道路で穴ぼこなどの不具合があった場合、管理者と維持業者間のやり取りをデジタルで実施するもの。昨年度には水戸土木事務所で試行を行い、本年度は県内の全土木・工事事務所で試行している状況にある。この新システムを活用すると、管理者と維持業者ともに業務の負担軽減が確認できたという。県道路維持課では今後の本格導入に向けて、利用者の意見を踏まえつつシステムの改良を行っていく考えだ。

 道路の維持管理業務では、少子高齢化に伴い従事する関係職員が減少傾向にある。その一方、道路利用者からの要望は年々増加傾向にあり、迅速なサービス提供のためには、作業の効率化・高度化が求められていた。

 そこで県では、受発注者間での情報の共有や作業プロセスの効率化による時間短縮を図ることを目的に、道路の維持管理業務へ新システムを活用する検証に取り組んできた。なお、このシステムは、県建設技術公社の社会貢献事業として実施。県道路維持課のニーズを踏まえ、既存のシステムを改良して作成した。

 維持管理の流れは、県職員が地域住民からの道路の不具合について通報を受けた後、維持管理の受託業者に連絡し、さまざまなやり取りを行い、修繕を行う形となる。従来は、電話による受付をメモし、エクセルで入力を行い、紙資料で管理していた情報について、システムを活用するとクラウド上で一元管理することが可能になる。これにより、受託業者が報告のために各土木・工事事務所に行く手間が省略化される。

 あわせて、要望情報の一覧を表示できるため、各案件ごとの進捗を容易に確認することも可能にした。これにより、直接の担当者が不在の時でも、各案件の進捗や過去の履歴も把握することができる。

 このほか、同システムは地図を拡大していくと住宅地図ベースになることが挙げられる。地域住民の通報から、道路の破損箇所を特定するには、普通の地図で判断するのは難しいため、この機能は有効だという。

 システムの効果を検証したところ、従来方法と比較して、各作業プロセスで要望1件にあたり、約3割(10分)程度の短縮を確認。また、アンケートでは、利用者の約9割でシステムによる業務の効率化が実感できたという結果になった。

 システムの導入状況を見ると、昨年度に水戸土木事務所で試行を実施。ある程度の評価が得られたことを受けて、本年度には範囲を拡大し、県内すべての土木・工事事務所で試行を開始することになった。

 なお、現時点では、従来方式とシステムを併用しており、どちらを使うかは受託業者にまかせている。これは、道路維持が住民対応であることから、通報に対する漏れがないようにするためとのこと。ただし、将来的には受発注者双方の負担軽減のため、本格導入を検討しているという。

 県道路維持課の担当者は、「システムの導入によって業務の効率化ができたという声を聞いている。しかしその一方、導入を渋っている理由など、マイナスの意見が聞こえてきていないのが現状。業者の皆さまには、システムをどう考えているのか意見してもらい、それを踏まえて、問題点を改善していきたい」とコメントしている。

 県道路維持管理支援システムの対象は県道となるが、市町村の道路維持管理の担当者からは、同様のシステムを市町村の管理路線にも適用できないかという要望がきているという。もし、市町村にも同様のシステムが導入されれば、行政間のやり取りがスムーズになり、道路の修繕への対応もより迅速になる可能性がある。同課では今後、こうした取り組みが可能かどうかについても検討していく見通しだ。

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