[2022/11/2　宮城版]

　気仙沼市は、大島の亀山園地(公園)をリニューアルする計画で、山頂公園へのアクセス手段となる斜行エレベーター(モノレール)の新設も含め全体事業費に9億9000万円を試算している。本年度はモノレールの新設やレストハウスの改修に向けた設計業務を委託し、可能ならば年度内に斜行エレベーターの造成・基礎工事を発注したい考え。来年度に工事を本格化させ、2024年度の開業を目指す。同園の運営事業者も今後に決定する。

　亀山の公園は山頂部にあり、既存のレストハウスを改修し、園内を再整備してにぎわいを創出するほか、山頂部へと至るアクセス手段としてモノレールを新設する。中腹にあってモノレールの出発地点となる亀山駐車場は、現状の小型車45台から、約100台程度のスペースに拡張する構想だ。

　モノレールは20人乗りの2両編成で、軌道延長が約433m。起点と終点には乗降場(駅舎)を設置する。整備に当たってはコンクリートの基礎を設け、複数の支柱を立ててその上にレールを敷くことをイメージしている。

　公園のリニューアルに向けては、民設民営を念頭に、民間事業者への聞き取り調査などを実施。運営に関心を持つ事業者もいることから参画を前提として踏み込んだ協議を進めている。

　民間事業者への聞き取り調査の結果、駐車場の拡張、余剰地の整地、インフラの整備、景観支障木の伐採などは行政が対応すべきという意見が寄せられた。

　にぎわいの創出に関しては、アトラクション関連のコンテンツや飲食施設の可能性を示唆する回答が多く得られた。現時点では市がにぎわい拠点や眺望拠点などの拠点ゾーンを整備し、民間事業者には遊びの空間などを整備してもらうことになる見込み。

　市は、レストハウスの改修やモノレールの整備などに必要な事業費を確保するため、内閣府の「地方創生拠点整備交付金」にエントリーし、3月末に採択にこぎつけた。

　基本的には本年度からの3カ年事業で、本年分は1億8657万円の事業費が認められた。今後は年度ごとに申請し、交付を受ける。市の負担額は合計で5億円だが、過疎対策事業債などを充てる考え。

　市は6月補正予算に3億8015万円の事業費を計上した。内訳は、実施設計等業務委託費が7566万円、工事費が3億0448万円。工事費はモノレールの造成や基礎部分の整備に充てる。

　レストハウスの改修工事やモノレール本体の設置工事は、別途予算を確保して来年度に発注する見通し。レストハウスは老朽化によって雨漏りが発生しているため、防水工事やトイレの改修などを行う。ただし、リニューアルを含め、どこまで手を付けるかは設計で決める。最終の24年度には周辺環境の整備として案内看板の設置なども予定している。

　リニューアルに向けた民間活力の導入可能性調査業務はパシフィックコンサルタンツ(東北支社・仙台市青葉区)に委託した。

　亀山は標高が235mで、山頂の36haが三陸復興国立公園の園地となっている。国立公園屈指の絶景を誇り、山頂から世界三大漁場の三陸沖や、湖面のような大島唐桑瀬戸などが一望できる。

モノレールの測量設計公告

　同市は1日、「大島亀山モノレール施設整備設計等業務」の一般競争入札を公告した。県内に事業所を置き、建設コンサルタント(鉄道部門)業務と地質調査業務の登録業者を対象に、15日まで参加申請を受け付け、17日に開札する。

　この業務はモノレールの新設設計と、駅舎の新築設計、レストハウス2カ所の改修設計をまとめるほか、路線測量や地質調査などを行う。履行期間は2023年3月31日まで。

　駅舎は駐車場、中腹、山頂の3カ所にS平屋で新築する。中腹駅舎には168平方ｍのデッキも取り付ける。