[2022/10/29　栃木版]

　県農業会議(國井正幸会長)は27日に、宇都宮市内のホテルで「2023年度農地等利用最適化推進に関する意見及び年度県農業等施策並びに予算に関する要請会」を開催した。國井会長から福田富一知事に要望書が手渡され、福田知事は「内容を検討した上で、要望を国に伝えるほか、県の来年度予算に反映させるよう検討する」と返答した。建設関連では、圃場整備、農業基盤整備、土地改良事業への補助や支援などのほか▽太陽光発電施設への対策▽イチゴ栽培などで施設・設備導入への支援▽ICT等の先端技術導入への支援▽農業水利施設等への防災・減災対策-などの項目が盛り込まれた。

水利施設で防災・減災対策

　県農業会議では、担い手への農地集積・集約化対策として、市町への支援強化、農地の機構集積支援事業等の関連予算確保や中山間地域の集積率向上に向けた関連施策の予算措置について、国への働きかけを要望した。

　優良農地確保と環境保全対策としては、再生可能エネルギー発電施設の廃棄費積立の周知について太陽光発電事業者や農業者に行って積立が実行されるようにし、廃棄などの適正処分が確実に行われるように指導を求めた。担い手・経営対策の推進では、スマート農業の加速化に向けて、技術の開発・改良、農地の大区画化や通信環境整備等のスマート農業に適した農業生産基盤整備等の指導・支援も求めている。

　農協農政対策県本部では、生産振興対策で▽イチゴ栽培等での増収技術施設(クラウン冷却機器、炭酸ガス施用装置、ICT技術など)への助成措置▽イチゴの健全苗供給に向けた、炭酸ガスダニ防除システムや育苗ハウスの機能向上などへの助成の継続・拡充-を要望している。

　県土地改良事業団体連合会では、基盤整備事業、農業水利施設の防災・減殺対策および保全管理、農村地域の流域治水対策の推進などへの予算確保を要望。県酪農協会は、糞尿処理施設・機械の再整備への支援策などを要望した。

　県漁業協同組合連合会は、豪雨災害からの復旧にあたり漁業関係者の意見や環境を配慮し、災害以前の自然環境に復元できるような仕組み作りなどを求めた。県農業法人協会は、農地への太陽光発電設置について、設置する場合の基準の明確化などを要望した。

　河宇農業振興協議会は▽水田の大区画化・汎用化および小規模な基盤整備推進のための、業者負担の軽減支援▽農地中間管理機構関連農地整備事業の活用促進に向けた採択要件の緩和▽ICTを活用した有害鳥獣対策への支援▽有害鳥獣の被害防止対策(やぶの刈払いなど)-などを訴えた。

　上都賀地方農業振興協議会は▽圃場整備事業の推進▽小規模区画整備について、圃場面積要件緩和の検討も含めた推進▽有害鳥獣の広域的な対策や、林政関係機関との連携強化▽耕作放棄地整備や山林経営も含めた施策-などを要望している。

　芳賀農業振興協議会はソーラーシェアリング制度について、全国的な実態調査などで課題を把握して課題解決などの事例の提示、農業者の収益とならないソーラーシェアリングを規制するための農地転用許可基準の改正と具体的な運用基準の提示、耕作放棄地または緑辺部のみ許可する等の認可基準の見直しなどを求めた。

　下都賀地方農業振興協議会は▽野生鳥獣対策の河川区域の雑木や竹林の伐採除去後について、維持管理のしやすさを重視した整地の実施▽圃場の大区画化、用排水路や農道の整備支援、農地の空木(境界木)に代わる地中マーカー(埋設杭)の活用支援の検討-などを訴えている。

　塩谷地方農業振興協議会は▽遊休農地の軽減策として、条件の悪い圃場への交付金増額▽遊休農地解消への事業の拡充や施策の創設▽水利施設等の計画的な機能保全対策、防災重点ため池の点検整備などの防災・減災対策や、被災時の早期復旧への支援の充実-などを要望した。

　那須地方農業振興協議会は▽米粉製造工場の設置▽中小規模農家への施設等の導入支援▽基盤整備事業の積極的導入のため、中山間地域での拡大や条件緩和▽条件不利農地で受益戸数が少人数でも、区画整理や農道整備が行えるよう、独自の補助制度の創設▽有害鳥獣対策で、ICT技術の促進と導入▽国道に面する農地の法面について、定期的な除草等の適正な維持管理-などを求めた。

　南那須地方農業振興協議会は、太陽光発電施設設置から20年後に放置されることがないよう、施設の更新および撤去に対しての指導の徹底を図った。安足地方農業振興協議会は▽百頭・県地区の圃場整備事業の推進▽圃場整備事業と別枠で、ハウスの移転費用への補助制度創設▽中山間地域において、施設整備など特認地域の特性を生かした新たな補助制度の創設▽遊休農地発生防止のため、除草作業や圃場整備への助成-などを要望している。