28年度の完成目指す 新スタジアム 建設地発表は来年度(J2水戸)

[2022/10/25 茨城版]
 サッカーJ2の水戸ホーリーホック(小島耕社長)は20日、県庁で新スタジアム建設計画の進捗状況を発表した。新スタジアムは球技専用とし、収容人数は1万5000人を上回る程度とする。建設場所は候補地を複数箇所に絞っている段階にあり、来年度にも公表する予定。施設には球技場に加えて観光や教育、オープンスペースなどの機能を追加し、試合観戦日以外にも稼働できるスタジアムとして整備していく。事業手法は民設民営を目指すが、特定目的会社の設立や行政との連携も視野に入れつつ検討を進める。今後は25年度から設計に着手し、26年度に着工。新スタジアムの完成時期は28年度中になる見通しだ。

 水戸ホーリーホックは19年11月に新スタジアムの建設構想を発表。協力会社を選定し、スタジアム建設に向けて協議を進めていた。しかし、新型コロナウイルスの影響を受けて打撃を受けたクラブの経営立て直しのため、計画を一時中断。その後、関係各位の協力により、クラブ存続の危機を回避した。また、観客動員が回復傾向にあることや、広告協賛料の増加などによって、今季の事業収入は、18年度から約1.5倍の9億5000万円を超える状況にあるという。こうした状況を踏まえ、昨年夏からプロジェクトを再起動し、このほど新スタジアム建設計画の進捗を発表することになった。

 新スタジアムは「クラブの取り組みを人、街の成長につなげる」を軸とし、▽Sports Entertainment 動く、遊ぶをエンタメに▽Wellbeing 日常がより健康に、幸せに▽Education 心と体の成長を支える──3つのコンセプトのもとで計画を進めていく。

 具体的な取り組みとしては、来場者向けに農業関連のパッケージツアーを想定。試合前に、農業体験施設で作付けや収穫を行い、試合後は農泊を行うようなツアーを企画する。また、近隣にオープンスペースを整備し、試合がない日にも市場やフェスを開催することで賑わいを創出していく。教育関連では、スポーツアカデミーを立ち上げ、アスリートの育成・輩出を目指す。

 新スタジアムの収容人数は当初の計画から変更となり、クラブの規模を考えて1万5000人を上回る程度にするとした。建設場所については、ホームタウンである15市町村の中から、候補地を選定する。現在は複数の箇所に絞り込んだ状況にあり、今後は各候補地を検討し、来年度中にも建設地を決定する見通しとなっている。また、スタジアム建設に関連する協力会社については、選定を進めており、現段階では契約直前の状況にあるという。

 事業手法については、当初の計画にあった民設民営に加え、単独での資金調達の難しさから、特定目的会社の設立や行政との連携なども視野に入れた検討を行う。資金調達については、24日から開始となったクラウドファンディングをはじめ、さまざまな方向から実施していく見通しとなる。

 今後のスケジュールとしては、23年度に計画を具体化し、水戸市や県と協議を進めていく。あわせて、計画予定地の発表も行う。25年度から設計を行い、26年度に着工する。新スタジアムの完成は28年度中になる見通しとなっている。

 小島社長は「サッカーを続けるため、J1に居続けるためのスタジアムではなく、ホームタウンの未来に夢をもたらすような、地域に愛され、新たな交流人口を生み出すようなスタジアムづくりを目指して議論を進めてきたい」とコメントしている。

 水戸ホーリーホックの本拠地であるケーズデンキスタジアムの収容人数は約1万2000人となり、J1昇格に必要な1万5000人の条件を満たしていない状況にある。現在は、基準を満たすスタジアムを早期に整備することを条件に、特例でJ1クラブライセンスを取得している。

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