整備事業者を公募 東部区画整理で官民複合施設(常陸太田市)
[2022/10/21 茨城版]
常陸太田市はこのほど、官民連携複合施設の設計、建設、管理と運営を行う事業の選定に向け、公募型プロポーザルの手続きを開始した。これは地域活性化に向け、東部土地区画整理事業用地内に公共施設と民間施設の複合施設を整備するものとなる。参加表明書は11月4日まで受け付ける。2月下旬までに最優秀提案者を選定し、3月中旬にも事業者を決定して基本協定を締結する。9月から建設工事に着手し、24年9月ごろの開業を目指す。
この事業では昨年、東部土地区画整理事業用地における地域活性化のための官民連携による基盤整備検討調査として、公共施設と民間施設の複合化を前提とした施設整備や運営、維持管理を含めた民間活力導入と、官民連携事業手法導入などの可能性調査を行った。この調査を受け、同事業用地内の中心部付近にある3-1街区の一部を候補地として、市民アンケートなどで市民要望の高かった書店やカフェなどを核に、地元事業者が参画できる官民連携の複合交流施設の計画と基盤整備に向けた方策についての方向性が示された。
今回、この街区が同事業用地の中心拠点に位置することを踏まえ、他の街区とあわせて市民や市外からの来街者が集える施設として、市民価値の高い民間テナントを核とした官民連携複合施設の民間事業者を募集することとした。
対象となる敷地は、カインズなどが計画されるB街区の北側にあるC街区の一部で、敷地面積は1万5332平方m。内部に設置される機能のうち民間施設については、配置や設置階層、室内レイアウト、出入口を含む施設内動線も事業者の自由提案としているが、市の事業意図に沿った施設の提案を求めている。市の期待する機能には、市民要望の強い書店やカフェ、アパレルなど、日常的に利用できる市民の暮らしの価値向上に寄与する施設の導入や、地元事業者の出店を促進するエリアの導入などを求めている。このうち、地元事業者の出店エリアは100坪(約330平方m)程度を想定し、地元事業者が良好な出店ができることとしている。
公共施設については、今後内容を詰めていく考えだが、行政サービスカウンターやコワーキングスペース、学習スペース、子育て支援スペース、ATM、宅配BOXなどを想定。共用施設については、トイレや階段、エレベーター、バックヤード、施設計画に対し必要とされる駐車・駐輪機能、外構施設などを想定する。
事業形態は、市有地に事業用定期借地権を設定。土地は市が地権者から取得し、選定事業者等に20年間の貸与を行う。選定事業者等が設計、建設、運営を行った施設は選定事業者等が所有し、市が建物全体を賃借する。賃借料は20年間で24億9000万円とし、市に納入するテナント料などを差し引いた市の実質負担額は16億5000万円を上限としている。
プロポーザルへの参加形態は、単体又は複数による企業グループとする。設計・施工などに当たる者は一級建築士事務所の登録や、建築工事業の許可などを求めている。選定事業者等は、事業のみを遂行するSPCとして、事業契約の締結前までに会社法に定める株式会社を市内に設立できる。
プロポーザルに対する参加表明書の受け付けは11月4日まで、事業提案書類の受け付けは23年1月13日までとし、1月下旬から2月上旬にヒアリングなどを行う。2月下旬までに最優秀提案者を選定し、3月中旬にも事業者を決定して基本協定を締結する。その後、4月上旬に契約を結んだあと、9月から建設工事に着手し、24年9月ごろの開業を目指して事業を進めていく。
土地区画整理事業地内では現在、北側のA街区で県太田警察署、南側のB街区にカインズホーム、A街区にヨークベニマルを中心としたショッピングセンターの整備がそれぞれ進められ、23年春ごろの開業が予定されている。
プロポーザルの問い合わせなどは、市役所商工観光部商工振興・企業誘致課まで。