公共事業費は415億円規模 県来年度当初予算の要求概要(栃木県財政課)

[2022/10/20 栃木版]

 県財政課は、2023年度当初予算の編成方針をまとめ、19日付けで各部局に通知した。予算編成方針の考え方は、「とちぎ未来創造プラン」や「とちぎ創生15戦略」の着実な推進を図るとともに、「いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会のレガシー等の未来への継承」「若者、女性に選ばれる“魅力あるとちぎ”づくり」「新型コロナウイルス感染症の克服とポストコロナにおける本県産業の競争力強化」「DXやカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの推進」の4つの重点事項を積極的に展開できるよう編成する。公共事業費は、要求水準を国庫・県単ともに本年度と同程度とし、直轄事業負担金を含む公共事業費は、22年度当初から12億円減の415億円と試算。子ども総合科学館や県立学校長寿命化などの指定事業も、84億円減額し865億円と試算する。

 23年度当初予算の収支見込みによると、歳出は22年度当初比で101億円減少し、6328億円規模を見込む。歳入は、企業業績の回復などで県税・地方消費税清算金の増加が期待できるものの、普通交付税に臨時財政対策債を加えた額は大幅な減少が見込まれる。歳出は、職員の定年引上げにより退職手当が減少するものの、医療福祉関係経費や公債費が増加することなどで、財政収支は22年度当初予算と同水準となる約93億円の財源不足が見込まれる。

 県財政課が示した要求基準によると、22年度当初予算の一般財源相当額に対し、公共事業費、直轄事業負担金、県単公共事業費(従来分)、学校建築費、交通安全施設整備費ともに1.00倍以内とし、本年度を上回ることなく同程度の水準を維持するよう求めた。

 また、大規模建設事業や年度間の増減が大きな経費など、指定事業の対象経費や要求基準は別途通知することとし、ここには子ども総合科学館や県立足利高校の整備、警察本部庁舎や県立学校施設の長寿命化改修、那須庁舎の整備などが含まれる。重点戦略マネジメントで「要求を認める」とされた事業については「知事政策枠」を設定し、所要見込み額の要求を認める。

 予算編成方針は、政策性の高い事業について所要額での要求を認めるほか、その他の経費に要求基準を設け、各部局の主体的な判断に基づく事務事業のスクラップ・アンド・ビルドを一層推進することで選択と集中を図るとともに、歳入歳出全般にわたり徹底した見直しを進めて、必要な財源を確保しながらメリハリのついた予算編成に取り組んでいく。

 予算要求の考え方によると、投資的経費は財源として発行する県債の償還や整備後の維持管理費用などの後年度負担を念頭に置くとともに、事業の優先順位、費用対効果などを検証した上で要求することを求める。

 特に公共事業については、要求基準内で要求することはもとより、国への要望や補助申請にあたり財政課と事前に協議して、申請する事業の調整を図ることを求める。直轄事業負担金は、国と事前に協議を行い、本県としての優先順位が反映されるよう調整を図ることを求める。

 また県単公共事業などは、事業の優先順位や費用対効果等を踏まえ、真に緊急かつ必要な事業に限定して要求するとともに、国庫補助事業の採択基準に適合する箇所は要求しないこととする。

 県民利用施設の整備は、県民ニーズや後年度負担等の分析を的確に行うとともに、類似施設の整備状況や市町村との役割分担などの観点から、施設の必要性や規模を厳格に検証した上で要求することを求める。

 このほか、本庁舎や地方合同庁舎を除く各種施設の修繕は、教育施設および警察施設に係るものをその所管部局が、その他の施設に係る営繕費を建築課が要求する。施設の新築・増改築は財政課に要求するものの、新築については「土木・建築工事受託実施取扱要領」に基づき、規模・金額などを事前に財政課や技術管理課と協議することとして留意を呼び掛けた。

 歳出における投資的経費の要求概要は次の通り。
▽必要性、優先順位、投資効果や将来の財政負担を十分に検討するほか、事業実施に団体等の負担を伴う場合には、適正な負担割合とすること。
▽施設の整備に当たっては、事前に現地調査及び関係部局との協議を十分に行い、遺漏のないようにすること。また、「建築工事積算調」を提出すること。
▽土地取得関係経費については、緊急性、必要性を検討した上で、別途対応することとしているので、原則として予算要求は行わないこと。
▽「栃木県公共施設等総合管理基本方針」及び個別施設計画等を踏まえた計画的な長寿命化対策については、別表「要求基準表」の経費の区分に従い要求すること。

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