建設候補地に2カ所 市民会館基本構想案 大小ホールを設置(足利市)

[2022/10/19 栃木版]

 足利市は18日、市役所で第5回(仮称)新市民会館整備基本構想策定市民検討委員会(委員長・小林真理東京大学教授)を開催した。(仮称)新市民会館整備基本構想の素案について協議し、施設構成は大・小ホールや諸室、共用ロビーなどを設置する方針を示した。建設候補地は、市民プラザと旧足利競馬場跡地の2候補地とし、整備にあたっては民間活力導入も検討する。新施設開館までのスケジュールは、基本計画の策定に約1年、設計者選定および基本設計・実施設計の策定に約2年~2年半、建設工事に約2年、開館準備期間に3~6カ月が必要になると想定している。

 県では、足利高校および足利女子高校を統合・共学化して22年度に足利高校を開校し、現在、旧足利女子高校跡地に新校舎を整備している。そこで市は、女子高跡地と隣接している足利市民会館(有楽町837)について、施設の老朽化や耐震性に問題があり建て替えを構想していることや、市内の教育環境の向上を考慮し、敷地を学校用地として提供した。

 この市民会館の移転候補地には、足利市民プラザ(朝倉町264)の敷地を選定していたが、市民会館整備で意見が多く寄せられたことを受け、候補地を改めて選定することとした。

 新施設の整備のポイントは▽大~中規模ホールの上演環境の向上▽小規模ホールの数・機能の見直し▽諸室の機能・規模の見直し▽展示室の規模の見直し▽和室の数・広さの見直し▽アクセスしやすさの配慮-などを挙げている。

 基本理念は「芸術文化の足利学校-体験・学びを共有して創造性を育み、まちに彩りをもたらす-」とし、新市民会館の役割を▽芸術文化そのものの質を高める▽芸術文化を関連分野に生かす取り組みを推進する▽芸術文化を支える人材の育成、仕組みづくり▽市民の文化活動を推進する▽市民の文化活動とアーティストとの有機的な連携を進める▽市民の憩いの場としての機能と演出-とした。

 施設整備にあたっては、旧市民会館と市民プラザの機能の集約化を構想し、時期や手法は今後検討する。

 施設構成について、鑑賞・発表部門は大ホール(1200~1500席)・小ホール(300席程度)・展示室(ギャラリー)、創造支援部門では、リハーサルスペースや練習・会議スペース、交流部門は共用ロビー、管理諸室は事務室やキッズスペースを設ける。

 大ホールは1200~1500席 を基本とするが、施設候補地の議論と合わせて引き続き検討する。主舞台は旧市民会館と同等以上の幅約10間(18m)×奥行約8~10間(14.4m~18m)とし、舞台袖は市民が多く立つ場合にも待機・出入りが可能な大きさとする。舞台には音響反射板やバトン等を適切に設け、多様な用途に高水準に対応できるようにする。楽屋やトイレの数は近年の劇場・ホールの水準を満たした数とし、配置と動線を考慮する。

 小ホールは、平土間形式とする。客席形式への変更しやすさに配慮し、移動閲覧席等の設置可否、舞台を固定とするか仮設組立式とするかなど、基本計画で引き続き検討する。

 展示室は可動式で間仕切りを設置し、展示しやすい天井高さとして、ピクチャーレールや照明等を適切に配置する。

 リハーサルルームは大ホール舞台と同程度の大きさとし、ミニコンサート等の簡易な発表もできるものとする。練習・会議スペースは、用途に応じた部屋を複数設け、用途に応じて音響設備等を配置する。

 交流部門は、施設利用や公演鑑賞以外にも気軽に訪れられる空間とし、レストランやカフェなどの飲食スペースの設置も検討する。管理諸室は事務室などを設置し、キッズスペースではおむつ交換スペースや遊び場を設け、託児サービスに応じた仕様も検討する。

 このほか施設整備にあたっては、子育て世代や高齢者、障害者など、すべての人々にアクセスしやすく利用しやすい快適な施設を目指すとし、省エネ対策や災害への安全性配慮も検討する。

 建設候補地は、市民プラザと旧足利競馬場跡地の2候補地を挙げた。整備手法は、従来手法、PFI/PPPといった民間活力導入を検討する。

 市民プラザは敷地面積約2万2000平方mで、用途地域は工業地域となっている。課題としては▽駐車台数が限られるため、敷地内駐車場の立体化、近隣民間施設駐車場との連携などを検討する必要がある▽男女共同参画センターや身体障害者スポーツセンターを複合するか、移転、廃止するかの検討が必要である▽渋滞等の周辺交通状況への対応を検討する必要がある-としている。

 旧足利競馬場跡地は敷地面積7万3000平方mで、用途地域は市街化調整区域。課題としては▽周囲に商業施設が少なく、市民会館整備のみでは地域全体の活性化や施設のにぎわいづくりにつながりにくいため、他施設との集約・複合化や、民間を含めた開発について検討する必要がある▽市街化調整区域であることから、用途地域変更や立地適正化計画の見直しなどによる、複合的な整備が可能な土地にする必要がある▽敷地前道路が渋滞しやすい状況であるため、交通政策面における検討が必要である-としている。

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