体育館の設置進む 県内学校空調設置 小中普通教室99.1%に(文科省)
[2022/10/18 栃木版]
文科省はこのほど、9月1日現在の公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況をまとめた。幼稚園や特別支援学校なども含めた公立小中学校等(18年度補正予算でブロック塀・冷房設備対応臨時交付金の対象となった学校種)では、普通教室の設置率が95.7%となり、前回調査(20年9月1日)の93.0%から2.7ポイント増加した。また、特別教室は63.3%、体育館等は15.3%となっている。本県を見ると、小中学校は普通教室が99.1%で前回調査から0.3%減少した一方、体育館などは22.8%と前回の0.2%から大きく増加し、全国平均の11.9%を大きく上回った。
文科省は、全国の公立学校施設(幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、特別支援学校)を対象に、普通教室と特別教室の空調(冷房)設備の設置状況を1998年度から調査している。また、近年の災害頻発化・激甚化を踏まえ、17年度から災害時の避難所にもなる体育館を調査項目に加えている。
本年度の調査結果によると、公立小中学校等の普通教室の全保有室数42万7891室のうち、空調(冷房)設備を設置している室数は40万9621室で、設置率は95.7%となった。特別教室等は、全保有室数39万1781室のうち24万8022室で設置されており、設置率は前回調査時の57.5%から5.8ポイント増の63.3%となった。
体育館等は、全保有数3万5437室のうち5422室に設置され、設置率は前回調査時の9%から6.3ポイント増えて15.3%となった。災害時の調達協定などにより、緊急時には外部より空調設備を確保可能としている室数を含めると8763室となり、確保率は24.7%に達した。
また高等学校は、普通教室の設置率が94.1%と、前回調査時の87.0%から7.1ポイント増加した。特別教室等の設置率は53.0%で、前回の46.8%から6.2ポイント増加。体育館等は8.1%で、前回の3.3%から4.8%増加している。
本県の設置状況を見ると、小中学校では普通教室の全保有室数6411室のうち6351室に設置され、設置率は99.1%。日光市(81.0%)と小山市(99.6%)を除き、いずれも設置が完了している。
特別教室は、全保有室数6630室のうち3687室に設置され、設置率は55.6%となった。上三川町で100%、さくら市で98.1%、塩谷町で94.6%と設置が進む一方、日光市は13.1%、那須塩原市で16.5%、大田原市で24.4%など、市町間で差が大きい。
体育館等は、全保有室数622室のうち142室に設置され、設置率は22.8%となった。設置しているのは佐野市(89.0%)、宇都宮市(78.2%)、矢板市(30.8%)、小山市(25.0%)、塩谷町(25.0%)の5市町のみとなる。
幼稚園は、保育室が栃木市6室、那須烏山市9室、那珂川町10室のいずれも設置が完了。保育室以外の諸室は栃木市1室、那珂川町3室が設置済み、那須烏山市の1室が未設置のため、設置率は80.0%となった。体育室は栃木市1室のみで、設置が完了した。
高等学校は、普通教室の全保有室数1129室のうち1057室で設置が完了し、設置率は93.6%。特別教室等は全保有室数1755室のうち858室に設置して、設置率は48.9%となる。体育館等は、全保有室数176室全て未設置となっている。
特別支援学校は、普通教室の保有室数452室と特別教室等の保有室数270室の、いずれも全てに設置が完了している。体育館等は、全保有室数17室のうち設置済みは1室で、設置率は5.9%にとどまった。
文科省では大規模改造(空調〔冷暖房設備〕整備)事業で、学校施設の空調整備に対し学校施設環境改善交付金を通じた支援を行っている。特別教室や体育館、学校給食施設を含め、児童・生徒や教職員らが使用する全ての部屋を対象に、空調(冷暖房設備)の設置に要する経費の一部を補助する。
補助の割合は3分の1で、対象工事費の下限額400万円から上限額7000万円まで。なお、財政力指数1.00超の自治体は7分の2までとなる。空調(冷暖房設備)の設置(工事を伴う新設・更新)に要する経費およびその関連工事を対象とし、資産が形成されないリース契約による空調設置は対象外となる。
体育館への空調設置については、その建物に断熱性があることが要件となるが、断熱性の無い体育館で、空調設置と併せて断熱性確保のための工事を実施する場合の経費についても、補助の対象とする。
同省では今後も、各地方公共団体からの相談に丁寧に対応し、児童生徒や教職員の安全・安心の確保のための取り組みが進むよう、財政面も含めて引き続き支援していくとしている。