清原立体の工程見直し 県公共事業評価委員会 再評価の継続「妥当」

[2022/10/8 栃木版]

 県公共事業評価委員会(委員長・山岡暁宇都宮大学地域デザイン科学部教授)は7日、県庁舎内の会議室で本年度第1回の委員会を開き、県土整備部所管事業の再評価を行った。審議案件は道路事業3件、河川事業2件、街路事業1件で、このうち道路事業の3件は個別審議、その他3件は一括審議した。再評価はいずれも、施工方法の変更や労務資材単価の高騰などによる事業費の変更や、用地買収の遅れによる事業期間の延伸などの見直しが図られ、委員会は6件全てで事業継続を「妥当」と判断した。

 議事に先立ち、県土整備部長の坂井康一部長は「公共事業費がひっ迫する中、これまで以上にコスト意識を持って選択と集中により効率的、かつ効果的に事業を進め、課題に対応していく必要がある」として、委員に忌憚のない意見を求めた。

 県は再評価にあたり、事業計画に大幅な変更があるものや推定便益・推定事業費の変更がプラスマイナス10%を超える事業などについて重点的な審議(個別審議)を実施し、それ以外は一括審議し、今回の道路事業3件は、いずれも前回評価時から推定事業費が10%を超えて増加するため、個別審議を行った。

 国道408号真岡宇都宮バイパスは、「常総・宇都宮東部連絡道路」の一部を構成し、事業延長は5200m。現在は、国道123号との清原工業団地交差点の立体化工事を実施している。

 今回の事業計画変更では、設計・施工マニュアルの改訂に伴う地盤改良工事の追加や労務資材単価の高騰などで、事業費が前回までの205億円から243億円に38億円増額する。また、立体化にあたり交通切り回し方法を現用地幅内で施工するよう見直した結果、上下線を分離して施工することになり、補強土壁工および地盤改良工が増加し、事業期間も2年延伸して26年度までとする。

 県はあわせて、工法や資材の工夫などによるコスト縮減方策にも取り組むことを報告。これに対し委員から、コストの具体的な縮減額について質問があり、県は橋梁への合成床版採用で800万円、交通切り回しに必要な土留工法の比較検討で7000万円、再生骨材・再生アスファルト合材の活用で3000万円、建設発生土の公共工事間流用で1700万円など、あわせて全体事業費の0.5%となる1億3000万円の縮減を図ると回答した。

 主要地方道つくば益子線の長堤工区は、現道が幅員狭小で屈曲し見通しが悪く、歩道も無い状況でありながら、沿道が人家連担区域で拡幅、線形改良が困難なため、延長3800mのバイパスを整備している。このうち、南側の約1600mは供用済みで、本年度はさらに600mの供用を予定する。

 見直しでは、労務資材単価や諸経費の上昇などにより、事業費を29億7000万円から10億円増額して39億7000万円に変更する。また用地取得に時間を要するため、事業期間を4年間延伸して26年度までとする。

 事業費増額分の内訳は、工事費が8億5000万円、用地費が1億5000万円。委員からはこれまでの支出済み額と今後の支出予定額についての質問があり、県は工事費のうち5億4000万円が支出済みで3億1000万円が今後支出予定、用地費のうち契約済みの分は5000万円で今後契約予定分が1億円と返答した。

 主要地方道大田原氏家線の親園佐久山バイパスは、沿線に産業団地が立地し交通量が多いにもかかわらず幅員狭小で線形が悪く、一部歩道も未整備なため、延長2200mのバイパスを整備している。

 事業計画の変更では、労務資材単価や諸経費の上昇などで事業費を20億8000万円から34億1000万円に13億1000万円増額。事業期間も、用地取得に時間を要するため3年間延伸し、25年度の完了を目指す。

 一括審議のうち、一級河川田川と一級河川名草川は、事業採択から10年以上が経過したことから再評価する。このうち田川は、日光市土沢地先から同市千本木地先まで延長6000mの河川改修事業で、13年度から事業に着手してこれまでに事業費ベースで41%(用地補償64%)まで進捗している。今回は、労務資材単価の上昇や消費税増税などで、全体事業費を16億円から17億円に約1億円増額する。

 また一級河川名草川は、足利市利保町地先から同市菅田町地先まで、延長800mの河川改修を実施している。こちらは事業用地取得の遅れにより、計画事業期間を22年度から5年間延伸して、27年度までとする。

 委員からは、名草川でも同様に労務資材単価の上昇が起きていないのか質問があり、県は架け替える市道橋の統廃合でコスト縮減を図ったため、現在の事業費内で収まっていると説明。また、名草川は延長800mにこれまで10年が経過し、事業進捗率が48%しか進んでない状況が指摘され、一層の進捗を求める意見が出た。

 街路事業の宇都宮市都市計画道路3・3・102号宇都宮水戸線外1路線の簗瀬町工区は、前回評価から5年が経過したため再評価を実施する。現在はJR立体交差部の延長389mで事業を実施しており、消費税増税などで全体事業費を112億2000万円から113億2000万円に1億円増額する。あわせて、事業用地取得の遅れで事業期間を25年度から30年度まで5年間延伸する。委員からは、用地取得の進捗状況についての質問があった。

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