週休2日に指定型 総合評価で工事評定を変更 来月1日からの適用予定(県検査指導課)

[2022/9/29 茨城版]
 県検査指導課はこのほど、10月1日から適用する制度の改正内容を明らかにした。今回の改正の主なものには、完全週休2日制促進工事で発注者指定型を新設することに加え、総合評価方式で「工事成績評定」の評価項目と評価基準の一部を変更することなどを盛り込んだ。このうち、発注者指定型では、3000万円以上の土木工事を対象に働き方改革の促進を図る。また、工事成績評定の見直しでは、県内型・特別簡易型(II)以上を対象とし、評価点を最大3点から4点に変更するほか、工事件数の実績も評価することになる。

 改正内容のうち、完全週休2日制促進工事では、発注者指定型を新設する。県土木部発注の週休2日制促進工事はこれまで、受注者希望型のみを実施してきた。昨年度の実績は248件となり、全体の約2割ほどの実施状況となる。24年4月からは、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されることを踏まえ、週休2日制を加速化させるために発注者指定型を導入することになった。

 対象となる工事は、現場作業を行う期間が1カ月以上と想定される工事のうち、3000万円以上の土木工事とする。件数としては約800件程度を想定。ただし、3000万円以上の土木工事であっても、▽緊急対応のための工事▽工程や完成時期に制約のある工事▽経費補正等基準が定められていない工事▽事業等の性質上、完全週休2日制での施工に伴う工事費が認められていない工事(災害復旧工事)──などは対象外とする。

 経費補正については、当初積算から4週8休相当の経費補正を適用する。受注者希望型では当初積算計上はなかったが、発注者指定型では当初積算から適用になることで、専門工事業者との交渉がしやすくなることが期待できるという。

 また、取り組みを行った結果、4週8休未満となった場合は、設計変更において減額変更を行うことになる。もし、発注者指定型で4週8休を達成できない場合にも、工事成績評定での減点措置などのペナルティは設けないと明記している。

 発注者指定型の新設について、県検査指導課の担当者は「今回の試行を半年間実施した後、業界団体と意見交換を行い、内容を検証していきたい。また、23年からは土木以外の工事にも適用し、段階的に対象を拡充していく。24年4月には、週休2日制が可能な工事については、すべての工事で対応できるような発注を進めていきたい」と意気込みを語った。

 県建設業協会の石津健光会長は県の取り組みに理解を示すとともに、同会でも完全週休2日制の達成に向けて、県内公共工事一斉休工日の取り組みを実施していることを説明。本年度からは、毎月第1から第4土曜日までの実施となり、来年度にはすべての土曜日を休工日に設定すること紹介したうえで、「協会としても時間外労働の上限規制に対応できるよう、週休2日制の早期実現に向けて積極的に取り組みたい」とコメントしている。

 また、総合評価方式の改正では、「工事成績評定」の評価項目と評価基準を一部変更するほか、「優良工事の受賞」の評価項目の廃止、「若手技術者の配置」の評価基準に「女性技術者」を追加した。

 このうち、工事成績評定の見直しでは、県内型・特別簡易型(II)以上を対象とし、評価点を最大3点から4点に変更するほか、工事件数の実績も評価することになる。

 工事成績の平均点は近年、上昇傾向にあり、80点以上の企業が110社以上いる状況にある。これらの業者の中で、評価基準の細分化が図られていないことを踏まえ、より技術力の高い企業を適正に評価するため、「81点以上」の評価基準を新設することになった。

 また、今回の改正により、工事件数についても評価の対象となる。具体的には、過去5年以内に5件以上の工事を実施していることを評価する。従来は受注工事件数に関わらず平均点のみの評価であったが、継続的に安定した成績を収めていることも評価の対象になるとの考えをもとに、改正することになった。

 配点は3点から4点に変更。評価基準は「81点以上かつ工事件数5件以上」を4点とし、「81点以上」または「80点以上81点未満かつ工事件数5件以上」が3.5点、「80点以上81点未満」または「78点以上80点未満かつ工事件数5件以上」が3点と続く。各評価基準の詳細については、県検査指導課のホームページから確認することができる。

 なお、注意点として改正の対象は県内型・特別簡易型(II)以上であり、特別簡易型(I)は対象外となることが挙げられる。また、工事件数の5件という基準については、土木と舗装、建築を想定した件数であり、それ以外の工事における件数の基準については、その工事の状況に応じて設定すると明記している。

 「優良工事の受賞」の評価項目は廃止する。これは、評価内容が工事成績と重複していることが理由となる。

 「若手技術者の配置」では、評価項目の拡充を実施。多様な人材を活用することを目的に女性技術者の項目を追加し、名称を「若手及び女性技術者の配置」に変更した。なお、総合評価方式で女性技術者を評価する項目を設置したのは、今回が初の試み。評価点は現行と変わらず1点となる。

 なお、今回の総合評価方式の改正は、本年7月に改正した23・24年度県建設工事入札参加資格審査(格付)基準の内容と一致するものとなる。

 詳しい問い合わせは、週休2日制が県土木部検査指導課技術管理担当(電話029-301-4370)、総合評価方式が同課技術指導担当(電話029-301-4375)まで。

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