建設業と連携強化 県内全域で震災対策訓練(千葉県土整備部)
[2022/9/10 千葉版]
千葉県土整備部は9日、県内全域で震災対策訓練を実施した。大規模地震を想定し、情報伝達訓練をはじめ、現地での道路啓開や緊急輸送道路の全面通行止めを想定した迂回路の設定、災害対策基本法に基づく放置車両の移動訓練などを展開。県建設業協会など建設産業関連団体も多数参加し、緊密に連携して対応することを確認した。
震災対策訓練は、災害時における県土整備部の防災活動の円滑な実施を図るとともに、県内建設関連団体との業務提携に基づく協力体制の一層の充実を目指すことが狙い。毎年9月1日の「防災の日」に合わせて実施している。
午前7時30分に県東方沖を震源とするマグニチュード7.7の地震が発生、各地域で震度6強の揺れを観測し、太平洋側沿岸部では2mを超える津波が発生した場合を想定して行われた。
県土整備部28出先機関の現地震災対策班が、県建設業協会など19機関と合同で訓練を展開。主な訓練内容は▽初動職員の参集訓練▽災害対策本部の設置訓練▽被害情報収集の情報伝達訓練▽津波陸閘・樋門の自動閉鎖を想定した情報伝達訓練▽現地実働訓練──など。
県庁に設置された災害対策本部で陣頭指揮を執った池口正晃県土整備部長は「地震が起こる前に、どういったことが起こりうるか事前に想定することが重要」と強調。定期的な訓練を重ねることで、起こりうることを思い起こし、実際に考え、改善していくためにも、“気付きの場”としてほしいと話した。
茂原市の県立長生の森公園では、国道409号の長南町蔵持地先で法面崩落があり、多数の倒木や電柱の倒壊も発生し、放置車両が道路上をふさぎ、通行できないとの想定で訓練を展開。県建設業協会長生支部や県電業協会、県長生土木事務所、県一宮川改修事務所から約20人が参加した。
長生支部は倒木をチェーンソーで細断し、通行できるよう素早く対応したほか、県職員とともに放置車両の移動訓練を実施。県電業協会は、倒壊した照明灯を確認し、撤去作業に取り組んだ。国土交通省千葉国道事務所の衛星通信車が訓練映像を災害対策本部に中継した。
千葉市中央区の旧消防学校跡地では、県内各地で1750本の電柱が倒壊した令和元年台風第15号の経験を踏まえ、緊急輸送路となっている県道で、放置車両や倒壊電柱により通行障害が発生しているとの想定で訓練を実施した。
県建設業協会千葉支部や県千葉土木事務所から15人が参加。車両移動用のジャッキを用いて、人力で車両を素早く移動、倒壊電柱の撤去作業ができるよう通行路を確保した。東京電力パワーグリッドは切れて垂れ下がっている電線を慎重に除去。関電工の作業班がユニック車で電柱2本を順々に吊り上げ、安全に撤去した。
建設産業関連団体の主な参加機関は次の通り。
▽県建設業協会と各支部▽県電業協会▽県測量設計業協会▽県地質調査業協会▽関東地質調査業協会千葉県支部▽県建設コンサルタント業協会▽建設コンサルタンツ協会関東支部▽日本橋梁建設協会▽日本埋立浚渫協会関東支部▽県造園緑化協会▽日本下水道管路管理業協会関東支部▽県環境整備協同組合