9月補正は327億円程度 自民県連 13重点要望に満額回答 福田知事
[2022/9/8 栃木版]
県の9月補正予算案一般会計は、327億円程度の規模となることが分かった。福田富一知事は7日、自民党県連に対し、要望された13重点事業308億1696万円について満額回答。このほか、県民生活に関わる緊要な課題への対処などで約19億円を加える補正予算案の規模を明らかにした。今回の補正では、公共事業費を大幅に増額して道路整備を着実に実施するほか、県民の安全・安心の確保に向けて、道路側溝の水はけ改善や中小河川の堆積土除去、山間部の倒木除去などに取り組んでいくための事業費を盛り込んだ。
県からの回答書によると、本年度の財政状況は普通交付税に臨時財政対策債を加えた額が当初予算額を下回るなど、当初予算に掲げた一般財源の確保が予断を許さない状況の中、9月補正予算案は新型コロナウイルス感染症への対応や安全で安心な暮らしの実現など、県民生活に関わる緊要な課題に適切に対処することとして編成した。
公共事業関係では、県土整備部の公共事業費に81億0965万円を確保したほか、県単公共事業費に政調上乗せで要望されていた7億7000万円を全額予算化した。「県土づくりプラン2021」に基づき、都市間の交流・連携を支える幹線道路の整備を促進するとともに、誰もが安全に安心して通行できる道路空間確保を進めていく。
また、豪雨や災害時にも物資輸送や復旧活動が円滑にできるよう、道路環境の整備に努めていく。県単公共事業費では要望道路の舗装修繕をはじめ、道路の水はけを改善するよう側溝の設置・拡幅や清掃を進めるほか、災害時の倒木を防ぐ予防伐採も積極的に取り組む。
公共事業関連調査費には、今後の円滑な事業実施に向けて政調上乗せで要望されていた1億円を予算化する。また、将来にわたる公共交通ネットワークの維持・充実を図るため、生活交通ネットワーク形成促進事業費に1億8000万円を計上。無人自動運転による運行サービスの導入が見込まれる交通事業者とともに、自動運転バスの導入に向けた実証実験を実施していく。
防災・減災対策には、政調上乗せで要望された9億円を計上。全国的に水害が激甚化していることを踏まえて、災害リスクの低減を図るため、中小河川の堆積土除去を進める。また、山間部で河川に流出する危険性の高い倒木などを撤去するため、政調上乗せで要望された5000万円を環境森林部の県単公共事業費に計上する。
農政部の県単公共事業費には、政調上乗せで要望された2000万円を追加した。農作物の安定生産や地域防災力の強化に資する基盤づくりが重要となる中、農業用水の安定供給や防砂・減災の観点から老朽化した農業水利施設の改修を推進するとともに、農地の排水改良を進めていく。
このほか、新型コロナウイルス感染症への対応で患者を受け入れる医療機関への支援や検査体制確保に向けた事業費として205億6917万円を確保するほか、原油価格・物価高騰への対応として第三セクター鉄道の事業継続に向け1270万円を盛り込んでいる。
政策要望については、「インフラ分野におけるDXの推進について」の要望に対し、福田知事は「新しい生活様式を取り入れた『新たな日常』の実現や公共サービスの向上を図るため、インフラ分野でも許認可申請手続きのオンライン化等を推進している。また、ICT施工やリモートによる現場監督などを実施し、業務の省力化・効率化に努めていく」と回答した。
要望事項に対する9月補正案の公共事業関連予算額は次の通り。(単位・万円)
【安全・安心な暮らしの実現】
▽公共事業費(県土整備部)=81億0965.9
▽県単公共事業費(県土整備部)=7億7000
▽公共事業関連調査費(県土整備部)=1億0000
▽生活交通ネットワーク形成促進事業費=1億8000
▽県単公共事業費(環境森林部)=5000
▽緊急防災・減災対策事業費=9億0000
▽県単公共事業費(農政部)=2000