浸水被害対策法を活用し、一宮川の整備を加速化へ(千葉県)
[2022/9/6 千葉版]
県や流域市町村で構成する一宮川流域治水協議会の第5回会合が5日、ウェブ会議方式で開かれた。特定都市河川浸水被害対策法を活用し、国の財政支援を受けながら河川整備を加速化するほか、一宮川水系流域治水マスタープランの策定を進めていくことで合意した。
河川整備については、2019年豪雨による浸水被害を契機として、中下流域で先行着手し、本年8月末までに短期対策を実施、24年度末までに完了させる計画。上流域・支川についても本年度から事業化し、流域全体でも29年度末の完成を目指している。
流域対策については、中下流域で実施している内水対策に加え、田んぼダムやため池貯留の取り組みが中上流域に展開しつつある。上流域や支川では浸水リスクの高い地域で建築のルールづくりなどが進められている。
協議会で県は、流域治水をさらに推進するため、ハード整備について、国の補助制度を活用しながら加速化し、水害に強いまちづくりを強化する方針を示した。
これらを実行するため、21年11月に全面施行された特定都市河川浸水被害対策法を活用するとともに、一宮川水系流域治水マスタープランの策定を進めていく。
特定都市河川浸水被害対策法の活用は、県知事が特定都市河川を指定し、県と流域市町村が流域水害対策計画を策定後、国からの財政支援を受けるもの。パブリックコメントや法手続きなどを経て、本年度末の指定告示を目指している。
一宮川水系流域治水マスタープランは、住民や農業関係者、事業者、市町村、河川管理者などの流域関係者が「流域治水」の概念や目標を共有するとともに、それぞれが取り組む具体的な対策・共有基盤(プラットホーム)となる流域関係者全員の総合計画。次回協議会で案を提示し、23年度にかけて策定作業を進めていく。
一宮川流域では、19年10月豪雨を含め、過去30年間で4度の浸水被害が発生しているため、20年12月に一宮川流域治水協議会を設置。流域のあらゆる関係者が協働し、流域全体で水害を軽減させる「流域治水」に取り組んでいる。