[2022/9/3　宮城版]
　気仙沼市は、市社会教育施設等の長寿命化計画をまとめ、ホームページに公表した。計画期間は2022～56年度の35年間。社会教育施設に関する整備の基本的な方針や、改修等の方向性などを定めている。改修等の方向性は別表の通り。9施設が長寿命化改良、13施設が大規模改造を計画。これ以外に面瀬公民館は改築に向け調整中となっている。

　市は所有する施設の老朽化が進み、改築などに多額の費用が見込まれる一方で、人口減少に伴う市税の減収や高齢者人口の増加に伴う社会福祉費の増大など、財政状況が厳しくなることを予想。　

　このため、国が推奨する施設の長寿命化方針に従い、社会教育施設等に関する維持管理のトータルコスト縮減、財政負担の平準化、既存施設の活用等を図るため、同計画を策定した。

　計画期間は上位計画である市公共施設等総合管理計画(2017～56)に終期を合わせた。基本的に5年ごとに見直す。対象施設は公民館等が19施設、図書館が2施設、スポーツ関係施設が4施設、その他施設が1施設。

　全体の棟数は34棟で、延べ床面積は4万6226平方ｍ。このうち、公民館等が22棟で全体の65％を占める。構造別では、面積割合で全施設の83％がRC造、12％がS造、5％が木造となっている。

　老朽化の状況は、建築後30年を経過した施設が15棟で全体の44％。そのうち、40年以上経過した建物が11棟で、全体の32％を占める。

　築後40～60年で改築する従来の更新方法を続けた場合、今後40年間に要するコストが約184億円(年間約4億6000万円)なのに対し、計画的に長寿命化を図った場合では維持・更新コストが総額約154億円(同約4億円)となり、総額30億円(同6000万円)の縮減となる。

　市はこうした試算を基に、今後の整備の基本方針や、改修等の方向性を定めた。基本方針では、おおむね80年の使用を目標に取り組むこととし、築後20年以上40年未満の施設は大規模改造、40年以上経過した施設は長寿命化改良を行い、80年で改築することにした。

　長寿命化改良は構造体の長寿命化(コンクリート中性化対策等)に加え、省エネルギー化や耐久性のある材料の使用、多様な学習への対応などを図る。大規模改造は経年劣化した建物内・外の現状回復を図る。

　長寿命化改修や大規模改修などの対象施設は示したものの、改修には多額の費用を要するため、施設の状況などを調べた上で順次、財政状況も踏まえながら必要性が高いものから手を付けていく考え。面瀬公民館については、年度内に地元住民と建設委員会を立ち上げ、改築に向けた設計などを話し合っていく意向だ。

※１ 気仙沼中央公民館に集約することとし、廃止・解体する方向で検討中。
※２ 用地を確保済みであり、改築に向け調整中。
※３ 閉校した大島中学校施設の活用も含め検討中。
※４ 廃止・解体を検討中。
※５ 旧落合小学校に集約後、解体を検討。