初弾工で下部工2基 中橋の架け替え 側人道橋の橋脚から着手(県都市整備課)
[2022/9/1 栃木版]
県都市整備課は、都計道家富町堀込線の中橋架け替えに係る初弾工として、下部工建設工事の「その1」と「その2」の2件の条件付き一般競争入札を公告している。中橋工区では本年度の渇水期に、現橋の3連アーチを移設する側人道橋の橋脚の下部工のうち、SP1の地盤改良工と基礎工、およびSP2の基礎工と躯体工を施工する。引き続き2023年度の渇水期には、残る橋脚と橋台を整備して、翌24年度に現橋の3連アーチを移設し、25年春にも側人道橋を通行を可能とする計画。25年度の渇水期からは、新橋部の下部工を実施していく見通しとしている。
都計道3・5・102号家富町堀込線(主要地方道足利千代田線)の一級河川渡良瀬川に架かる中橋付近は、周辺の堤防より低く足利市内の浸水被害軽減を早期に図る必要がある。また、交通混雑の解消や近隣の学校に通学する生徒の安全確保のため、特定構造物改築事業による中橋の架け替えを進めている。
工事は、既存の3連アーチを10m程度下流側へ移設し、歩行者・自転車の専用橋として利用を開始した後、現在の中橋を撤去して新しい橋を架設する。JR両毛線交差部は立体化して踏切を除去するなど、交通の円滑化を図る。
新たな橋梁は渡良瀬川に架かる渡河部と、JR両毛線をオーバーパスするこ線部で構成。渡河部は橋長約285mで、上部工は鋼5径間連続細幅箱桁、下部工は場所打杭基礎逆T式橋台2基と場所打杭基礎壁式橋脚4基とする。
また、側人道橋は既存の3連アーチ(約67m×3連)をSP1~SP4間に移設。橋脚から橋台までは、鋼単純箱桁を左岸側約39m、右岸側約45m設置する。これらの橋梁詳細設計は現在、富貴沢建設コンサルタンツ(宇都宮市)で策定している。
JR両毛線のこ線部は、上部工が鋼4径間連続鋼床版鈑桁(延長約110m)とPC単純中空床版(約24m)、下部工が場所打杭基礎逆T式橋台2基と場所打杭基礎壁式橋脚4基とする。こ線部の橋梁詳細設計は、日本構造橋梁研究所(東京都)が担当している。
今回発注する初弾工は、いずれも側人道橋の左岸側の橋脚の工事で、「その1」はSP1の地盤改良工と場所打杭工など、「その2」はSP2の場所打杭工のほか橋脚の立ち上げまで行う。いずれも2者または3者のJVを対象として9月14日に開札し、275日間の工期で施工する。
今後のスケジュールは、本年秋から河川の左岸側を締め切ってSP1の基礎とSP2の橋脚を施工し、23年秋からは残るSP1の躯体部分と両岸の橋台2基、および右岸側を締め切って右岸側のSP3とSP4の2基の橋脚を整備する。
24年秋からは、歩行者・自転車用の仮橋を設置して現在の中橋を通行止めにし、3連アーチを下流側に移設する。25年春には移設を完了させて側人道橋の通行を可能とし、仮橋は撤去する。なお、車両は中橋を通行止めにして以降、上流の渡良瀬橋や下流の田中橋など周辺の橋梁への迂回を誘導する。
25年度以降は、現中橋の橋脚を撤去して跡地に新橋の橋脚を順次設置するとともに、橋台の設置にあわせて渡良瀬川の堤防嵩上げを実施。その後、新橋の上部工を架設して事業を完了させる。
JR両毛線を越えるこ線部や田中町側の取付道路については、現在施工計画などの検討を行っているところ。なお、高架橋から既存道路に降りる際、歩行者や自転車は斜路付き階段を利用する計画になっているが、地域住民からはエレベーターの設置など、バリアフリー対策を求める意見が出ている。これについて県は、「対応方法を市と検討していく」としている。
橋梁部の費用負担は、渡良瀬川の堤防嵩上げなどの河川事業(河川管理者:国交省渡良瀬川河川事務所)と、中橋の架け替えおよびJR両毛線との立体交差化を一体的に整備する街路事業(道路管理者:県安足土木事務所)とのアロケーションを実施。本年3月には国、県、市の3者で施行範囲と役割分担を定めた基本協定を締結し、現在、三局長通達による費用負担について関係者で協議を行っている。