10カ年で103億円 県南西地域の水道基盤強化(県水政課)

[2022/8/30 茨城版]
 県水政課はこのほど、県南西地域水道基盤強化計画を策定した。この計画では、県南西地域の水需要の過不足を緩和することを目的に、県南地域から県西地域への水融通に必要となる施設整備を定めていく。具体的には水融通に係る管路やポンプの施設、更新などを行う。対象は県南・県西地域の18市4町1村。計画期間は本年度から30年度までの10年間とし、概算事業費は約103億円と試算した。

 県南地域と県西地域は、県南地域広域的水道整備計画と県西地域広域的水道整備計画に基づき、広域・長期的見地から計画的な整備に努めてきた。しかし、計画策定から40年以上が経過し、水道を取り巻く条件が大きく変化し、水需給において過不足が発生する状況となっている。

 そこで、県南西地域の水需給の過不足を解消するため、県と県企業局は関係21事業者の同意を得たうえで、県南広域水道用水供給事業と県西広域水道用水供給事業を統合し、県南地域の余裕水を県西地域へ水融通することを決定。20年度から県南西広域水道用水供給事業として事業を開始した。今回の計画では、県水道ビジョンとの整合を図りつつ、同事業を着実に推進し、県南西地域全体で水道の基盤強化を実現するものとなる。

 検討の際には、県各市町村の水道事業者らで構成する研究会を設置。会議では、▽水道広域連携の検討▽水道の現状および将来の見通し、課題の把握や共有▽その水道事業の健全な発展──などについて議論を交わした。その後、5月31日に同計画を策定することになった。

 対象となる区域は、▽土浦市▽龍ケ崎市▽取手市▽牛久市▽つくば市▽守谷市▽稲敷市▽美浦村▽阿見町▽河内町▽河内町▽利根町▽古河市▽石岡市(旧八郷町)▽結城市▽下妻市▽常総市▽筑西市▽坂東市▽かすみがうら市(旧千代田町)▽桜川市▽つくばみらい市▽八千代町▽五霞町▽境町──の計24市町村、21水道事業者となる。

 水融通量は1日あたり1万4500立方mを想定。方策実現による効果としては、県南地域で水融通による受水費の減、県西地域で配水場の廃止・集約や新規水源の確保、県企業局で施設稼働率の向上などが期待できる。なお、廃止する施設は、▽総和配水場▽宗道浄水場▽石下東部浄水場▽真壁浄水場▽高久浄水場──で、規模を縮小する施設は、▽石下西部浄水場▽岩井浄水場▽猿島浄水場──となる。

 各水道事業者の役割分担は、県が関係事業者間の調整や、交付金の調整、水道基盤強化計画の策定を担う。県企業局は県南広域用水供給事業と県西広域水道用水供給事業の統合や、連絡管の整備、県水送送水に係る施設整備、新治浄水場廃止の検討など。水道事業者は、県受水に係る施設整備や交付金を活用した水道普及率の向上などを担当する。

 整備内容は、利根川給水系で、▽仮称・利根川系増圧ポンプの新設▽仮称・利根川系増圧ポンプ所付近の管路新設▽仮称・東ルート増圧ポンプ所(みらい平・伊奈系)ポンプ更新▽東ルート増圧ポンプ所(みらい平・伊奈系)付近の管路新設▽仮称・東ルート増圧ポンプ所(千代川・石下計)ポンプ新設▽千代川・石下配水場付近の管路更新▽坂手配水場付近の管路更新▽事業連絡管の管路増径▽利根川浄水場ポンプ更新──を実施する。

 水海道給水系では、▽境系増圧ポンプの新設▽仮称・境系増圧ポンプ所付近の管路新設▽八千代配水場へ向かう管路新設▽石下西部配水場へ向かう管路新設──を予定している。関城給水系では、▽関城(浄)ポンプ更新▽岩瀬大和(岩瀬系)ポンプの見直し▽真壁ポンプの更新▽下館配水場に向かう管路新設▽高久配水場へ向かう管路新設▽真壁増圧ポンプ所付近の管路更新──などを実施していく。

 このほか、関城浄水場と水海道浄水場、利根浄水場では中央監視設備の改造も計画する。

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