美術館リニューアル 2023年度に改修着工 宮城県議会で設計経過 説明(宮城県教育庁)
[2022/8/20 宮城版]
宮城県議会の常任委員会が8月19日に開かれた。宮城県美術館(仙台市青葉区)のリニューアルについて宮城県教育庁は、基本設計の経過を文教警察委員会で報告した。既存の展示スペースや収蔵スペースを改修し、新たにキッズ・スタジオ、情報・交流ラウンジなどを設ける考え。本年度末までに基本および実施設計を完了させ、2023年度に改修工事に着手する。
建物や設備が老朽化している宮城県美術館は当初、宮城県民会館とともに宮城野原(仙台市宮城野区)に移転改築する方針が示された。しかし、美術館の外観はデザイン性が高く、県民からは建て替えに反対する意見が多く出された。結局、宮城県は美術館を現地改修する方針に改めた。
リニューアルについては老朽化対策を施すとともに、ユニバーサルデザインの観点を取り入れたり、県民のニーズを反映させる。不足している展示スペースは、収蔵庫を改修するなどして新しいスペースを確保する。また、芸術体験の中から子どもたちの感性を育む「キッズ・スタジオ」の新設を計画。県民が集い、くつろげる「情報・交流ラウンジ」も設ける。
リニューアル改修に関する基本・実施設計は、大宇根建築設計事務所(東京都町田市)が請け負っている。8月中に基本設計が完了する見通しになったことで、教育庁は実施設計の移行前に、県議会に対して経過を報告した。
既存の本館はRC造地下1階・地上2階建て延べ1万2130平方m。本館の西側に、佐藤忠良記念館が併設されている。改修するのは本館および外構を予定している。
1階部分は常設の展示室2室をリニューアルする。本館の南東側にある講堂は、キッズ・スタジオ(約290平方m)と新県民ギャラリー(約190平方m)に作り変える。新県民ギャラリーでは、個人やグループが展示会などを催せるようにする。
1階の北側にある図書室と映像室は、情報・交流ラウンジ(約160平方m)に改修する。東側にあるレストランを拡張し、ミュージアムショップを併設して約170平方mの広さにする。既存のミュージアムショップは授乳室(約10平方m)に作り変える。地階にある今の県民ギャラリーは、新しい展示室(約360平方m)に作り変える。また、地階にあるバックヤードの前面をガラス張りにし、見える収蔵庫「ヴィジブル・ストレージ」を設ける。
建物については、老朽化している空調設備や給排水設備を改修するとともに、バリアフリー化を進める。外壁の補修や屋上防水なども行う。屋外の舗装路も、傷んだ箇所を補修する。
今後は9月から実施設計に取り掛かり、来年の3月中に完了させる。2023年度に改修工事を発注し、同年度の中盤に着工する予定。約2年をかけ、25年度の中盤までに完成させる。現時点では25年度の後半にリニューアルオープンする見込み。
改修工事は直接工事費を20億円と見込み、間接工事費などを含んだ事業費を30億円程度と見込んでいる。