本県小中は99.9% 公立学校の耐震改修状況(文科省)

[2022/8/18 茨城版]
 文部科学省はこのほど、4月1日現在で公立学校施設の老朽化状況調査と耐震改修状況フォローアップ調査の結果をまとめた。このうち、校舎や体育館などの非木造構造体の耐震化率は99.6%となり、前年の調査から0.1ポイント上昇した。本県では、高等学校や特別支援学校では100%を達成しているが、小中学校では99.9%、公立幼稚園では92.9%などとなっている。

 調査項目のうち、老朽化状況調査は、公立小中学校施設の築後25年以上を経過した施設が保有面積の約8割を占めるなど、老朽化が深刻になっていることを踏まえ、児童生徒などの安全を驚かす不具合などの発生状況について調査したものとなる。また、耐震化調査は、公立学校施設の耐震化への取り組みを推進するために02年度から毎年実施しているもので、11年度からは校舎などの耐震改修状況に加え、非構造部材の耐震点検と耐震対策の状況についても調査を行っている。

 このうち、公立学校の耐震化では、児童や生徒などが一日の大半を過ごす学習.生活の場であるとともに、災害発生時は地域住民の避難所となるなど重要な役割を担っていることなどから、建物の構造体の耐震化や非構造部材の耐震対策については、15年度におおむね完了した。しかし、その後の取り組み状況もフォローアップ調査を行い、調査結果として取りまとめている。

 調査対象は、福島県の一部を除いた全国の公立学校施設(幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校)となる。調査項目は、▽構造体の耐震化状況(非木造/木造)▽屋内運動場等の吊り天井等の落下防止対策状況▽屋内運動場等の吊り天井等以外の非構造部材──などを対象とする。

 今回の調査結果によると、校舎や体育館などの非木造構造体の耐震化率は99.6%となり、前年度から0.1ポイント上昇した。内訳は小中学校が99.7%、幼稚園が97.7%、高等学校が99.4%、特別支援学校が99.9%となった。このうち、小中学校の耐震化が未実施の建物は、前年から156棟減少して288棟となり、耐震化が未完了の設置者は残り65設置者となった。

 このほか、屋内運動場等の吊り天井等の落下防止対策状況では対策実施率が99.4%、屋内運動場等の吊り天井等以外の非構造部材の調査では耐震対策実施率65.3%(耐震点検実施率96.3%)などとなっている。

 本県の状況を見ると、小中学校耐震化率は全国で26番目の99.9%、公立幼稚園耐震率は同41番目の92.9%となっている。

 このうち、小中学校では、前年度までに北茨城市や坂東市の対応が完了したため、耐震性のない建物は日立市の坂本中学校体育館1棟となった。日立市では市立学校再編計画を策定し、地域住民らの意見を踏まえながら統廃合などを進めている状況にある。坂本中学校の在り方については、久慈中学校を受け入れ先とした統合計画が存在している。そのため、統合後の25年度以降に体育館を使用しなくなることから耐震化が完了する見通しとなる。

 一方、老朽化状況調査は、21年度に調査を行ったもので、対象は都道府県や市区町村などが設置する公立の小中学校(中等教育学校の前期課程を含む)や義務教育学校とする。調査では、建物の老朽化が主因で発生した児童生徒などの安全を驚かす不具合など(ひび割れや破損、剥離、腐朽などによる仕上材や部品の落下など)の発生件数を調べた。

 老朽化面積(築45年以上の改修を要する面積)は、1834万平方m(16年度)から3338万平方m(21年度)に増加し、安全面の不具合は全国2万2029件発生した。本県では、138件の不具合が発生したが、16年度(633件)からは495件減少している。

 発生件数が多いのは、消防用設備などの動作不良や故障など(8751件)、床材に浮きやはがれ(2406件)、軒裏のモルタル片などの落下(1211件)、照明器具.コンセント.分電盤などの漏電(1109件)などととなった。全体では、前回調査からは9648件減少しているが、引き続き日常的な点検や修繕を行い、建物を健全な状態に保つための改修を適切なタイミングで実施し、致命的な損傷の発現を事前に防ぐ必要があるとした。

 文科省では、この調査結果の通知文において、非構造部材を含めた耐震対策が未実施の設置者に対して、早期の耐震化完了を要請したほか、老朽化した建物ではガラスの破損や内外装材の落下など非構造部材の被害が拡大する可能性が高いため、安全確保の観点から、非構造部材の落下防止を含めた老朽化対策の取り組みを支援するとした。設置者の取組状況については、継続的にフォローアップを実施していくとしている。

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