水害対策に万全を 県防災訓練 各部局合同は初の試み
[2022/8/9 茨城版]
県災害対策本部事務局は4日、県庁で風水害対応訓練を実施した。台風の接近に伴う線状降水帯による大雨が発生したことを想定し、初動体制の確立や災害対策本部の適切な運営などについて、ブラインド方式で訓練を行った。なお、今回は災害対策本部事務局に加え、保健医療部と福祉部、土木部、企業局らも訓練に参加。各部局と連携し、合同で訓練を行うのは今回が初の試みとなる。事務局長を務めた防災・危機管理部の山崎剛部長は「これから本格的な台風シーズンが到来する。今後は訓練を生かして、万全の対応をとっていきたい」と意気込みを語った。
今回の訓練では、大雨の影響で風水害が発生したという共通の設定のもと、それぞれが訓練を実施。このうち、災害対策本部事務局では、災害対処能力の向上を目的に、図上訓練を行った。
訓練には対策本部事務局員や自衛隊施設学校、県警察本部、いばらき消防指令センターなど約150人が参加。訓練では、実際の災害発生時に近づけるため、参加者にシナリオを提示しないブラインド方式を採用。また、複数のデマ情報の追加や、県内各地で河川の氾濫や土砂崩れが同時並行的に発生したことなどを条件とし、事務局員が混乱した状況の中で情報収集・分析、対処方針を検討することを求めた。
土木部と企業局では、被災箇所の情報提供や報告を行う実動訓練を実施。このうち、土木部では、線状降水帯の影響によって、県西地域で雨・暴風、県北地区で高潮・波浪の特別警報が発令。その結果、12河川で越水の災害が発生し、緊急輸送道路などの通行止めが発生したことを想定し、訓練にあたった。
訓練内容としては、職員安否確認や出先事務所での電源喪失時の対応、河川水位状況の情報収集、災害対応指示などを実施。また、ドローンを活用して現地から土木部災害対策室へのリアルタイム映像共有や、通行の支障となる車両の啓開作業などを行った。
なお、ドローン訓練の際、場所によって風雨により、ドローン操縦には適さない環境もあった。しかし、悪天候の中でドローンを飛ばし、状況を確認できたことは収穫のひとつだったという。
企業局では、線状降水帯の影響により浄水場で停電が発生したことを想定。訓練では浄水場の停電対応や市町村への応急給水、取水口のゴミ除去などを実施。また、局長室に設置した災害対策本部では、ウェブ会議で現地と繋ぎ、連絡を取り合った。
防災訓練について、山崎部長は今回はブラインド方式を採用したため、実践的な訓練になったことや、これまで各部局ごとにバラバラに実施していた訓練を体系的・統一的に実施できたことを評価。その一方、図上訓練と実動訓練の整合性をとることの難しさや、班同士の連携不足、必要な場所への人員投入などの課題が明らかになったことを説明し、今後に生かす方向性を示した。
田村央土木部長は「本日はウェブ会議が円滑に行えたが、災害時は回線の混雑などが想定される。ウェブ会議以外で本庁と事務所が画像を含めた情報共有が可能かなど、複数の手段を使うことも考えて準備していく必要がある」と述べ、万全の体制で災害対応にあたるよう協力を求めた。
稲見真二企業局長は「今回は停電対応や取水口のゴミ除去など、実践的な訓練を行うことができ、実りのある内容となった。また、訓練を通して、課題が浮かび上がったと思う。今後は、工夫点や改善点などを十分に検証し、本当の災害に向けて備えていきたい」とコメントしている。