NCC拠点へ居住誘導 住生活マスプラ 本年度末の策定へ(宇都宮市)
[2022/7/27 栃木版]
宇都宮市は26日、市役所で2022年度第1回(仮称)住生活マスタープラン策定懇談会(座長・陣内雄次宇都宮共和大学教授)を開催した。マスプラの施策方向性として、NCC拠点の良好な住環境な整備や居住誘導、郊外住宅団地の住環境の維持、安全に配慮した住宅や環境負荷の少ない住宅の普及促進、分譲マンション管理の適正化推進、不動産事業者等と連携した居住支援などを挙げている。今後は10月中旬の第2回懇談会で素案を協議した後、12月にパブリックコメントを実施。23年1月の第3回懇談会で計画案を協議し、2月庁議で計画を決定する。
市は13年度に住生活基本計画を策定し、計画に基づいて住宅施策を推進してきた。今回は、変化する社会経済状況に対応し、市が目指すスーパースマートシティの実現に向けて、市民生活の安定・向上への施策を推進するため、現行計画の改定と合わせ、賃貸住宅供給促進計画やマンション管理適正化推進計画の3計画を一体化した(仮称)住生活マスタープランを策定する。計画期間は、2023~32年度までの10年間としている。
市の住宅・住環境等の状で、住宅は年平均約4000戸の増加が続いており、18年度には26万2770戸となっている。新設住宅着工数は17年度をピークに減少しており、20年度には3461戸となった。
空き家は、08年度の3万1940戸から18年度には4万4410戸に増加しており、賃貸用住宅が3万0610戸で全体の68.9%となっている。20年度に実施した戸建て空き家の実態調査によると、空き家と判定された住宅は5587戸。このうち、目立った腐朽破損のないものが4660戸、管理不全状態が848戸、崩落のおそれがある危険なものが79戸。中心市街地に空き家が多く立地している。
中古住宅購入数は、住宅購入総数に占める割合は低いものの、緩やかに増加中。新耐震基準で建設されている住宅は、21年度時点で約94.7%。省エネ設備等の設置状況は、一定の対策を講じた(二重サッシや複層ガラスの窓の導入)住宅が38%、太陽光発電機器の導入が7.3%、太陽熱温水器機器等の導入が3.5%となっている。
高齢者のいる世帯の一定のバリアフリー率は、21年度で45.3%。共同住宅のうち、道路から各戸玄関まで車いすやベビーカーで通行可能な住宅は21年度で15.4%だった。地域まちづくり計画策定地域数は、21年度で31地域となっている。
市営住宅で、耐用年数を経過しているものは20年度時点で297戸と、全体の8.2%を占める。公営住宅法の建替事業要件となる耐用年数2分の1を経過するものは2077戸で、全体の57.2%。40年度ごろから、耐用年数の経過で用途廃止の対象となる住棟が増加する見通しとなった。
分譲マンションは、19年度末時点で175件181棟。21年度以前に竣工した築30年以上のマンションは、22年度には約4割となる見込みで、32年度に約6割、42年度には9割超になる見込み。
市民アンケートからは▽空き家活用▽高齢者世帯向け住宅の供給▽子育て世帯の住環境整備-などを行政に求め、住み替え等の意向のある世帯かは省エネ、バリアフリー性能、部屋の広さなどを住宅に要求し、交通利便性、医療施設や商業施設等の近さを住環境で重視している。
市の課題としては▽ネットワーク型コンパクトシティ(NCC)拠点へのさらなる居住誘導▽郊外部での住環境の維持▽東京圏からの移住・定住の促進▽各種意向に応じた居住支援▽住宅確保要配慮者の増加を見込んだ、安定した住まいの確保▽中古住宅のさらなる流通促進▽賃貸住宅の空き家の一部を活用し、市営住宅を補完する入居として住宅を供給▽高機能住宅のさらなる普及促進▽高経年マンションの増加を考慮した、住棟の適正な管理-などが挙げられている。
住生活マスタープランの施策方向性としては[1]宇都宮の魅力を生かし高める住まいづくり(NCC拠点における良好な住環境な整備やさらなる居住誘導、市への移住・定住促進、郊外住宅団地の住環境の維持)[2]多様な市民ニーズに対応する住まいづくり(ライフスタイルに応じた居住支援など)[3]安定した生活を営む住まいづくり(住宅確保要配慮者のための適切な住宅の供給など)[4]安全で環境負荷の少ない持続可能な住まいづくり(既存住宅市場の活性化、安全に配慮した住宅の普及促進、環境負荷の少ない住宅の普及促進)[5]マンションの質を高める住まいづくり(分譲マンション管理の適正化推進)[6]多様な主体と連携した住まいづくり(不動産事業者、福祉関係機関等と連携した居住支援)-としている。