公園にPFIなど導入 緑の基本計画策定懇話会 年度内に次期計画策定(宇都宮市)
[2022/7/20 栃木版]
宇都宮市は15日、市上下水道局庁舎で2022年度第1回緑の基本計画策定懇話会(会長・大森宣暁宇都宮大学教授)を開催した。今回の会議では、新たな計画となる第3次計画の策定について協議。新計画の期間は23~32年度の10年間を予定し、樹林地や農地の保全、公園の更新などに加え、P-PFI制度等の民間活力導入、雨水流出抑制機能を有する緑の創出が必要だとされた。今後、懇話会は8月下旬予定の第2回で計画骨子案、11月上旬予定の第3回で計画素案について協議して、12月ごろにパブリックコメントを行う。23年1月下旬予定の第4回会議で最終議論を行って計画案を作成し、庁内での最終調整を経て22年度中に計画を策定するとしている。
緑の基本計画の第2次計画は、計画期間が22年度までとなっている。そこで市は、新しい時代の緑の取り組みの基本的な方向を明らかにする(仮称)第3次緑の基本計画の策定に着手する。
市の緑の構造について、20年度時点での緑被率は市域全域で67%、中心市街地で15.2%となっている。都市公園は22年度時点で1085カ所(A587.56平方m)あり、公園維持費は施設老朽化で増加傾向にある。都市部では、公共施設緑化や民有地緑化で市が支援している一方、落ち葉や根上がりが問題となっている。
現行計画の達成状況について、22年度の目標値に対しての現状値(21年度時点)は、森林整備面積が150haに対して116.3ha、緑による二酸化炭素吸収量が年間3万0695トン-CO2に対して2万7323トン-CO2、市街化区域の身近な公園誘致圏カバー率が40%に対して38.6%、公園バリアフリー数が186カ所に対して153カ所、公園再整備数が数値向上の目標に対して4カ所、緑地協定区域数が33カ所に対して24カ所、多自然川づくりによる河川整備率が62.8%に対して63.8%となっている。
新しい計画策定について、緑地保全では引き続き樹林地や農地の保全に取り組むほか▽都市部の景観形成や郊外部の防災機能といった、立地に応じて期待される緑の機能が発揮されるような保全・活用▽居住誘導を図る拠点の周縁の緑地・農地を自然とのふれあいの場に生かすこと▽公民連携で多様な主体が緑地の保全・創出に関わる取り組み-が必要だとされた。
緑の拠点整備では▽公園の老朽化した施設の更新や維持管理で計画的な取り組み▽適切な公園配置▽公園機能に新たな付加価値を与えて利用者サービス向上のため、P-PFI制度等の民間活力導入▽市民ニーズや地域課題に応じた公園の利活用-が必要とされた。
都市緑化では▽都市部で人の目に見える緑を効果的に配置・創出するためにまちづくりと連動した戦略的な緑化推進▽都市部の豪雨被害軽減に向けた、雨水流出抑制機能を有する緑の維持・創出-などが必要とされている。
緑のネットワークでは▽山林や市街地均衡にある都市農地の保全など、引き続いての緑の連続性の充実▽その場に求められる機能に応じた緑の配置、多様な主体が参加する維持管理体制の構築-などが必要とされた。
計画策定に向けて特に議論すべき論点案については、それぞれの緑の場所や規模に応じて求められる機能を特に発揮させる戦略的な取り組みが重要だとした。発揮すべき緑の機能については▽緑のあるうるおいある都市景観の形成▽都市の近くで農や緑と触れ合える環境形成▽雨水流出抑制による豪雨被害の緩和▽避難場所の確保▽緑地保全や緑化による温室効果ガスの吸着▽都市部の緑化によるエネルギー消費の軽減▽緑陰形成によるヒートアイランド現象の緩和▽生物の生息・生育環境の確保-などを挙げている。
ネットワーク型コンパクトシティの形成を踏まえた緑のあり方について、都市拠点は賑わいや憩い空間のための緑の活用、拠点周縁部は都市住民が自然と触れ合える空間としての農地や樹林地の保全・活用、郊外部は雨水貯留浸透機能などへの緑の保全・活用、地域拠点は居住環境のための緑化や地域コミュニティ形成の拠点となるオープンスペース整備を挙げた。
緑の保全・活用・創出では、P-PFI制度等による民間活力を生かした公園の魅力化(民間企業のアウトドアパークの整備など)などを挙げている。