働き方改革を評価 入札参加資格審査基準の改定 2024年問題対応で加点(県監理課)

[2022/7/15 茨城版]
 県土木部監理課建設業担当は15日、23・24年度県建設工事入札参加資格審査(格付)基準について、改正内容を公表した。技術等評価項目に「働き方改革」と「ダイバーシティ」を新設。また、「工事成績」と「技術者の確保・育成」、「社会貢献活動」では、内容を改正した。このうち、「働き方改革」では、建設業の2024年問題にいち早く対応した取り組みなどを評価することを盛り込んだ。申請の受付は11月ごろを予定しており、詳細が決まり次第、公表する見通しだ。

 前回からの変更内容について、技術等評価項目では、新規に「働き方改革」と「ダイバーシティ(多様な人材の活用)」を追加した。また、変更として「工事成績」と「技術者の確保・育成」、「社会貢献活動」で内容を改正。継続は「労働安全衛生」と「指名停止」、「監督処分」、「ICT施工」。廃止は「優良工事表彰」と「企業立地」、「環境配慮」となる。このほかの変更内容としては、電気と管、舗装のC等級をB等級に統合することや、建設工事について法定外労災の加入を条件に設定した。

 今回の技術等評価項目の変更は、担い手の減少をはじめとする建設業を取り巻く状況を踏まえ、働き方改革やダイバーシティの推進に積極的に取り組む企業を評価することが理由となる。

 各項目の内容をみると「働き方改革」では、24年4月から開始となる建設業の時間外労働の上限規制にいち早く対応する取り組みを評価する。

 評価の対象は、県社会保険労務士会が認定を行う「労働条件審査」や、日本健康会議が認定する「健康経営優良法人」、県健康推進課が認定する「いばらき健康経営推進事業所」、県労働政策課が認定する「働き方改革優良(推進)企業」などの取り組みとなる。

 このうち、労働条件審査では、労働関係法令の順守や時間外労働の上限規制に適合しているか分析したうえで、助言や提案がされる。分析の結果、上限規制の取り組みが認められた企業は、審査適合企業として20点、現時点で実現できていないが、2年後までに達成すると意思表示を行い、改善計画に取り組む企業には10点、審査を受けた企業に対しては、働き方改革に対する意欲があるとして5点を加点する。

 そのほか、「健康経営優良法人」には20点、「いばらき健康経営推進事業所」には2点、「働き方改革優良(推進)企業」には5点または2点で、週休2日等の取り組みを行う場合は5点が加算される(各項目の加点内容の詳細については、表を参照)。

 各項目の詳細については、それぞれのホームページを参照すること。

 「ダイバーシティ」については、新たに女性や若年技術者の確保と、外国人材の活用を評価する。具体的には常勤技術者のうち、女性または35歳未満の若年者の人数×5点(上限20点)を加点。常勤職員のうち、特定技能または技術・人文知識・国際業務の在留資格を有する者を雇用している企業に10点を加点する。

 「工事成績」では、優良な成績(平均点数80点以上)を収めた場合は補正係数を上乗せする。受注件数が2件から4件の場合は1.03、5件から8件の場合は1.06、9件以上は1.09となる。また、建築工事については、発注件数が少ないことを受けて、過去10年度の成績を評価するように変更した。

 「技術者の確保・育成」では、技術者の配点の見直しと監理技術者補佐を評価する。具体的には1級技術者×2.5点、監理技術者補佐×2点、登録基幹技術者×1.5点とする。また、若年者の入職を促す取り組みを評価するため、インターンシップや就職説明会などによる若年技術者の入職者数×5点(上限10点)を加点する。

 「社会貢献活動」では、鳥インフルエンザや豚熱などの家畜伝染病に係る防疫業務を評価。県または市町村の要請による防疫業務を行った企業に対し、活動1回につき5点(上限10点)が加点となる。

 「優良工事表彰」と「環境配慮」では、評価の対象が重複しているために廃止。「企業立地」は、近年の評価実績がないことを受けて廃止となった。

 また、「ワーク・ライフ・バランス」は「働き方改革」に、「常勤雇用・若年者雇用」、「女性活躍」、「生涯雇用」は「ダイバーシティ」に整理・統合した。

 このほか、電気と管、舗装のC等級はB等級に統合する。これは、該当する業種のC等級の発注工事件数が少ないことを受けて、実効性を持たせるために統合することになった。

 また、建設工事については、社会保険などの加入に加え、今回から法定外労災の加入を条件とした。なお、コンサルタント業務については、要件化しておらず、担当課では混同に注意を喚起している。

 今回の改正内容について、横須賀正美副参事は「働き方改革を推進し、人材確保や働きやすい職場環境をつくってほしい」とコメントしている。

 詳しい問い合わせは、県土木部監理課建設業担当(電話029-301-4334)まで。

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