事業費は約18億円 そ・ら・ら拡張の計画案を公表(小美玉市)
[2022/7/2 茨城版]
小美玉市は6月28日、「市まちづくり構想基本計画(案)-空のえきそ・ら・らの拡張に係る計画-」を公表した。計画によると、既存施設の再整備に加えて、南拡張エリアと東拡張エリアを取得し、体験型施設を整備していく。具体的には飛行機展示を中心とした広場の設置や、各種工房や体験農園、レストラン、BBQ広場、サイクルステーションなどを計画。概算事業費は約18億円に設定し、事業期間は基本設計から5カ年程度を予定する。なお、市は計画の策定に市民の声を反映させるため、パブリックコメントで28日まで意見を募集している。
この事業は、茨城空港を核として交流人口の拡大や地域振興の活性化に取り組み、飛行場と地域住民が共存できるまちづくりを目指すことを目的とする。20年3月には「市まちづくり構想」を策定し、▽そらら拡張▽そらら参道▽エコトープ▽Jフロント──の4つの整備構想を検討。基本計画案では、「そ・ら・ら」の機能拡張を図るそらら拡張構想について、具体的な方向性を定めるものとなる。
「そ・ら・ら」は、文化、生活習慣、自然、歴史、産業などの地域資源を市民自らが再発見し、次世代に残せるような「地域文化」の創造を目指した地域再生の拠点として、14年にオープン。工場見学のできる乳製品加工施設や、会議や集会場所として利用できるそららホール、ビュッフェスタイルのレストラン、さまざまなイベントが開催できる太陽の広場・イベント広場などの施設がある。来場者数やイベント開催数は、18年度までは空港の旅客数や見学数に比例してやや増加傾向であったが、19年度末からは新型コロナの影響で大きく減少している。また、イベントの開催以外でも集客を確保することや地域住民の利用を高めることなどが課題となっている。
今回の計画では、「街の要となる空のえきそ・ら・らの拡張と機能強化~地域の農と食から持続可能な地域再生を目指す~」をコンセプトとする。これを踏まえて、既存エリアに加えて南拡張エリアと東拡張エリアを取得し、▽地域の生活の中に共存する▽地域の活力・魅力を育てる▽広域から近隣まで様々な交流を促進する──の3つを基本目標とした体験型施設を整備していく。
施設に導入する機能は、▽広場・展示機能▽体験・交流機能▽飲食・物販機能▽レクリエーション機能▽情報発信機能▽エントランス機能▽駐車場・調整池機能──の7つ。広場・展示機能では既存のマルシェ広場や太陽の広場へ屋根を設置することで機能強化を図るほか、新たに飛行機展示を中心としたおおぞら広場を設置する。
体験・交流機能では、新規で各種工房や体験農園を南拡張エリアへ配置する。また、そららホールは料理教室や各種セミナー、講習会などの会場として活用を図っていく。飲食・物販機能では、各種工房での加工品などを販売するほか、物産館やレストランでの活用も検討している。
レクリエーション機能には、新たに1000平方m程度のBBQ広場の設置を検討。また、つくば霞ヶ浦りんりんロードや大洗・ひたち海浜シーサイドルートと連絡したサイクルステーションの設置を計画している。
情報発信機能では、ウェルカムセンターをBBQ広場の管理・受付やサイクリストの休憩室として活用するほか、そららホールで地域や航空自衛隊、茨城空港などの情報発信を行う。エントランス機能には、新規に茨城空港アクセス道路からの視認性の高いエントランス広場を設置する。
このほか、幅員約15m程度のそららロードを配置して南拡張エリアと既存エリアを繋げていく。駐車場・調整池に関しては、拡張エリアの整備に伴って必要な台数や機能を新たに確保するとしている。
そらら拡張の概算事業費は、現時点で約17億8000万円と想定。内訳は土木工事費が約4億7000万円、建設工事費が約6億6000万円、土地取得費が約2億円とし、このほか機体購入・設置費に約4億5000万円を予定する。
整備・管理主体は、各種工房では民間事業者の参入を検討する。このほかの施設については、整備主体は市とし、管理主体は指定管理者制度の導入を検討している。
今後の事業スケジュールは、1年目に基本設計に着手し、2年目から1年半で測量や地質調査、実施設計を行う。その後単年で緑地整備や造成、駐車場整備などの外構整備工事を実施。施設の建設工事は1年半での整備を想定している。基本設計の着手から整備完了までは5カ年を要する見込み。なお、現時点で基本設計の着手時期などは未定となっている。