大地震想定し連携確認 合同情報伝達訓練 県や栃建協など参加
[2022/6/28 栃木版]
大規模災害時における公共土木施設の復旧体制に関する連携会議(座長・坂井康一県土整備部長)による合同情報伝達訓練が、20日に県庁などで行われた。県、宇都宮市、関東地方整備局、自衛隊のほか、県建設業協会(栃建協、本部と宇都宮支部)なども参加して、災害時の復旧に備えて訓練に励んだ。
合同情報伝達訓練は、県内で大規模災害発生時に、関係機関が被災に関する情報を速やかに共有し、初動対応にいち早く取り組むことが目的。復旧作業に必要な連絡系統等を再確認し、今後の連携強化を図るとしている。当日は、県庁の県土防災センターや危機管理対策室などのほか、参加者の所属先からもリモートで訓練を行った。
今回の訓練では、栃木県で最大震度7の内陸直下型地震が発生して、宇都宮市での地震災害が発生したと想定。▽大曽地内での、主要地方道藤原宇都宮線で家屋倒壊による交通遮断▽大谷町地内での一般県道大谷観音線での斜面崩落による孤立集落の発生▽上欠町地内の主要地方道宇都宮楡木線での橋梁点検による通行止め▽大網町地内での一級河川田川の河道閉塞-が発生したと設定し、県が国交省のリエゾン派遣を要請し、県が栃建協へ全県的な対応を依頼したところから訓練を開始した。
主要地方道藤原宇都宮線の家屋倒壊による交通遮断は、宇都宮土木事務所が栃建協の道路河川等情報システムを活用して現場の状況を報告し、通行止めを指示。上欠町地内の橋梁点検による通行止めは、宇都宮土木事務所から道路保全課へ、ドローン映像で道路橋梁点検の状況を報告した。田川の河道閉塞については、宇都宮土木事務所が被害状況を報告し、県が排水ポンプ車とTEC-FORCEの派遣をリエゾン経由で国交省に要請した。
大谷町地内での斜面崩落による孤立集落の発生は、宇都宮市が宇都宮土木事務所に災害状況を報告し、同事務所が災害状況の映像を送信。状況を確認した砂防水資源課が、危機管理対策室に防災ヘリの出動を要請した。現地に到着した防災ヘリは災害状況の映像を送信し、映像を確認後、県土整備部長がリエゾン経由で国交省にTEC-FORCE派遣を要請。県知事も、自衛隊に対して道路啓開のための災害派遣を要請した。TEC-FORCEは現地を調査し、崩落が予想されることから観測が必要と報告。自衛隊も現地に到着して啓開作業を実施し、県に作業完了を報告した。
訓練終了後、坂井部長が訓練を総括し、「各機関との連携や実践的な情報伝達手段について、参加者で確認できた。実際の場面では、さまざまな情報が入ることや、数多くの情報伝達手段もあることから、まだ不十分だと感じている。災害はいつどこで発生するかわからないので、行った訓練を基に、実際の災害発生時にどうすればいいか考えるべき。Web会議にも慣れて、電話以外の情報伝達手段を活用してほしい」と述べ、参加者に対し、今回の訓練で得られた課題などを実際の活動に生かし、災害発生時に連携して作業することを促した。