［2022/6/28　茨城版］
　常陸太田市は本年度、山吹運動公園周辺地区の都市再生整備計画に着手した。計画期間は5年間(22-26年度)で、交付対象事業費は68億0200万円(交付限度額30億6400万円)とし、基幹事業では新総合体育館の整備なども含めて総額67億5600万円を投じる計画だ。

　この事業は、新総合体育館を中心とした山吹運動公園の整備による市民の健康寿命の延伸や、子育て世代への支援と合わせて、公共交通再編による利便性の向上など、公園周辺地区一帯の回遊性向上を図ることで、市外への居住集積による市街地活力の維持を目指すもの。対象は、源氏川沿いの両側(新宿町と稲木町の各一部)で、面積は約86haとする。

　大目標には、「新総合体育館整備による公園の魅力向上と市街地活力の維持」を設定。これを達成するための目標には、▽新総合体育館を中心とした公園の賑わいと魅力の創出▽防災力向上による安全安心な生活機能の保持▽公共交通ネットワーク再構築による利便性向上──を掲げる。

　このうち、「新総合体育館を中心とした公園の賑わいと魅力の創出」では、課題解決の施策・誘導方針として生活機能保全と魅力向上の実現を掲げた。具体的には新総合体育館を整備し、市民のスポーツ活動の促進・健康寿命の延伸による活力あるまちづくりを目指すとした。このほか、子育て支援施設「じょうづるはうす」の設備のリニューアルや、インクルシーブな魅力ある公園を目指すことで、子育て世代の定住維持と促進を図る。また、公園に隣接する市道に右折レーンを設け、イベント時の混雑の解消を図る。これらを実現するための基幹事業には、山吹運動公園再整備事業(公園)や市道0107号線道路整備事業(道路)、誘導サイン設置事業(地域生活基盤施設・情報板)を掲げている。

　新体育館の整備では昨年、安井建築設計事務所(東京都千代田区)と柴建築設計事務所(水戸市)の設計JVが基本設計に着手し、本年度は実施設計の策定を予定する。昨年夏には基本計画の見直しが行われ、屋外運動施設として、グラウンド・ゴルフなどを楽しめる多目的運動広場やランニングコースを設置するなど、公園全体で市民が健康増進を図ることとした。新体育館の構造はRC造一部S造2階建て、総延べ面積は約6800平方ｍ程度(スポーツ施設約4100平方ｍ、附帯施設約2300平方ｍ、その他400平方ｍ)を想定し、事業費は約46億円を見込む。着工は24年度を予定し、24年度から26年度の3カ年で施工。27年度までの供用開始を目指す。

　「防災力向上による安全安心な生活機能の保持」では、集約と連携のまちづくりを推進するための課題解決の施策・誘導方針として、「安全な市街地確保」を実現する。具体的な施策には、公園内への防災設備整備による防災力向上や、夜間の徒歩避難を想定した照明灯の設置などによる避難ルートの確保で安全安心な生活を支える。公園南側の市道は冠水の頻度が多いため、冠水対策を行い安全確保を図っていく。基幹事業には、山吹運動公園再整備事業(公園)、市道3257号線道路整備事業(道路)、耐震性貯水槽・自家発電機等設置事業(地域生活基盤施設・地域防災施設)、照明灯設置事業(高質空間形成施設)を掲げた。

　「公共交通ネットワーク再構築による利便性向上」では、市街地の連携強化と都市間の連携強化の実現を目指す。このため、路線バスの本数が少なく利便性が低いなどから持続可能な公共交通体系を再構築するほか、重要な交通結節点である駅構内に情報案内板を設置し、市外県外来客者が公共交通を利用しやすい環境をつくる。公園東側の源氏川堤防沿いには歩道を整備し、市街地から公園まで徒歩による移動の誘導を図る。基幹事業には、市道0107号線道路整備事業(道路)、常陸太田駅情報案内板設置事業(地域生活基盤施設・情報板)、誘導サイン設置事業(地域生活基盤施設・情報板)などを盛り込んだ。

　以下、基幹事業の主な対象対象は次の通り。(▽事業箇所＝[1]事業内容[2]開始年度[3]終了年度[4]全体事業費)

▽市道3257号線道路整備事業(道路)＝[1]冠水対策L300m[2]23年度[3]23年度[4]8000万円

▽市道0107号線道路整備事業(道路)＝[1]歩道整備L550m[2]26年度[3]26年度[4]1億3000万円

▽山吹運動公園再整備事業(公園)＝[1]新総合体育館整備ほか10・6ha[2]22年度[3]26年度[4]64億4500万円

▽市道3257線・市道0107号線・県道日立笠間線・国道293号(地域生活基盤施設)＝[1]誘導サイン設置9基[2]26年度[3]26年度[4]1600万円

▽常陸太田駅(地域生活基盤施設)＝[1]情報案内板設置事業[2]23年度[3]23年度[4]700万円

▽山吹運動公園(地域生活基盤施設)＝[1]貯水槽1基、自家発電1基、トイレ23基[2]26年度[3]26年度[4]4800万円

▽市道0107号線(高質空間形成施設)＝[1]照明灯設置事業5基[2]26年度[3]26年度[4]3000万円