観光拠点など整備 息栖神社周辺整備計画を公表(神栖市)
[2022/6/17 茨城版]
神栖市はこのほど、息栖神社周辺整備基本計画を公表した。整備コンセプトを「和と歴史、そして人と人をつなぐにぎわいの拠点」に設定し、観光拠点施設や市道、船溜まり周辺などの整備を進めていく。本年度は観光拠点の基本設計に着手するほか、周辺市道や駐車場の実施設計などを行う。観光拠点の完成時期は24年度を予定している。
この計画は20年度に策定した「まちのにぎわいづくりプラン」に基づき、息栖神社の魅力を向上させ、市内外から多くの観光客が訪れる拠点として整備することで、定住人口と交流人口の拡大による地域の活性化が目的となる。なお、業務は東京建設コンサルタント茨城事業所(水戸市)が担当した。
息栖神社は息栖2882に位置し、敷地面積は約3万6000平方mで、駐車場はバス4台、乗用車60台分を確保する。19年度の年間来訪者数は5万1630人となる。ヒアリングや庁内検討会、立地特性などを踏まえ、同地の課題として、▽古き良き息栖神社周辺の文化を残す▽趣のある景観整備▽飲食機能や物販機能の充実▽来訪者が休める場所▽歩行者への安全対策▽水辺を活かした景観整備▽地域住民との連携▽自転車を活用した整備▽駐車場の整備▽照明設備▽イベントスペース整備▽船着き場の整備──を挙げた。
これらの課題を踏まえ、息栖神社周辺整備のコンセプトを「和と歴史、そして人と人をつなぐにぎわいの拠点」に設定。整備方針として、拠点施設整備と市道整備、船溜まり周辺整備を実施することを示した。
このうち、拠点施設整備では、旅館「柏屋」の跡地に観光拠点施設を2棟整備する。拠点施設[1]は2階建てとし、内部には休憩スペースや飲食施設の導入、情報発信の展示スペース、特産物の販売や観光案内ができる施設を想定。拠点施設[2]は平屋で、飲食と特産物の販売をメインとし、店舗数は今後検討していく。拠点施設の規模は2施設合計で延べ約670平方mを予定。予定工事費は3億1000万円程度に設定している。
また、拠点施設近くの船溜まり横には、駐車場を整備。その一角には、イベントスペースを設け、各種イベントの開催やキッチンカーを誘致し、さらなるにぎわいを創出していく。
市道整備では、東国三社参りの伝統を踏まえ、一の鳥居から二の鳥居までの市道について、景観整備を計画する。その際には、大型車の通行量が多いことから、耐久性に優れた石畳風の舗装を検討していく。また、歩行者の安全確保として、歩道や照明の整備の検討も進める。
船溜まり周辺整備では、水辺を活かした景観づくりと「息栖河岸」を連想させる整備を計画する。具体的には、船溜まり両脇の舗装整備や休憩できるテラスのような場所の導入、船着場の整備を進める。将来的な構想として、常陸利根川に面した船着き場を整備し、船による東国三社や水郷観光などの活用も想定している。
このほか、安全性や利便性向上のため、▽横断歩道の整備▽サイクリングロードと連携するための駐輪場の設置▽道路整備に伴う排水路改修整備▽趣のある街灯整備▽案内看板の設置▽景観向上のための電柱・電線の位置変更──などの検討も予定する。
事業の進捗として、息栖神社前の市道8-398号線と船溜まり脇の市有地、駐車場などの基本設計は千代田コンサルタント(東京都千代田区)が担当。本年度は実施設計に着手する。
観光拠点施設の基本設計については、2日から公募型プロポーザルの手続きを開始した。7月1日にも受託候補者を特定し、年度内に基本設計を策定する計画となる。
本年度の事業費として、観光拠点施設基本設計委託料に1355万円を予算化した。このほか、周辺市道整備実施設計(市道8-398号線ほか1路線測量設計)委託料に1200万円、雨水排水路改修設計委託料に700万円などを盛り込んでいる。
整備完了時期は、拠点施設と駐車場が24年度、市道は23年度を予定。船溜まり周辺については、26年度の完了を見込む。