TXの県内延伸を 防災・減災対策で加速化求める(県の中央要望)
[2022/6/9 茨城版]
県はこのほど、23年度の「国の施策および予算に関する提案・要望」(中央要望)を取りまとめた。2日には都内のホテルで本県選出の国会議員に対して内容を説明するとともに、意見交換を実施。その後、大井川和彦知事は関係省庁を訪れ、萩生田光一経済産業大臣らに要望書を手渡した。今回の要望では、昨年度に策定した新たな総合計画に基づき、「活力があり、県民が日本一幸せな県」の実現に向けた施策44項目を盛り込んだ。このうち、8項目を重点要望に位置付けた。建設業関係では、防災・減災対策の加速化や土砂などの不適正処分に係る法整備のほか、TXにおける県内延伸の早期実現、高速道路の整備などを要望している。
この活動は国の施策および来年度予算編成にあたり、予算措置や政策・制度の創設・改正などについて、県の要望を盛り込むために実施するもの。毎年、概算要求前の6月に関係省庁へ要望書を提出し、予算編成前の11月にも再確認のために要望活動を行っている。
中央省庁への要望に先立ち、2日には本県選出の国会議員に対し、大井川知事らが提案・要望の内容を説明。議員からの意見を求めるとともに、実現に向けて支援と協力を求めた。
あいさつに立った大井川知事は国際情勢の変化など、予測困難な非連続の時代を迎えていることに触れ、この困難な時代を乗り越えていくために新しいことに挑戦を続けていく考えを示した。また、要望の主なものとして、カーボンニュートラルの推進やALPS処理水の対策、外国人の入国枠撤廃や難民の要件緩和などを盛り込んだことを紹介し、「これらの要望は、今後の世の中を考えたときに、地方にとって大変重要な項目となる」と説明し、引き続きの支援を求めた。
関係省庁への要望では、経済産業省の萩生田大臣をはじめ、法務省の古川禎久法務大臣、厚生労働省の深澤陽一厚生労働大臣政務官、農林水産省の金子原二郎農林水産大臣、国土交通省の泉田裕彦国土交通大臣政務官のもとを訪れ、それぞれ要望書を手渡した。このうち、国土交通省に対しては、「災害に強い県土づくり(洪水対策)」と、「広域交通ネットワークの整備(鉄道)」の要望を行った。
今回の要望内容をみると、項目数は新規3項目、一部新規11項目を含む計44項目。重点要望には、▽鹿島臨海工業地帯の強靭化および競争力強化ならびに臨海部におけるカーボンニュートラルの推進▽最低賃金の引上げ▽医師など医療従事者の確保▽災害に強い県土づくり▽ALPS処理水の海洋放出に対する関係者の理解醸成と万全な対策の実施▽地方における外国人材の活躍促進▽より多くの「難民」受入れに向けた、難民設定の要件緩和など▽広域交通ネットワークの整備──を盛り込んだ。
災害に強い県土づくりでは、「激甚化・頻発化する洪水への防災・減災対策の加速化」と「土砂などの不適正処分への対応に向けた法制度の拡充」、「激甚災害制度および被災者生活再建支援法の制度改正」の3項目で要望を実施。このうち、洪水対策では、流域治水対策として、河川整備などのハード対策と、ハザードマップの作成をはじめとするソフト対策推進に向けた予算確保を求めた。久慈川・那珂川緊急治水プロジェクトの推進として、築堤や河道掘削の早期完成を要望している。
広域交通ネットワークの整備では、「広域道路ネットワークの強化・充実」と「我が国の国際競争力を牽引する港湾の整備」、「地方への人の流れを加速する都市鉄道ネットワーク強化」の3項目を盛り込んだ。
広域道路については、東関道水戸線の25-26年度の全線開通と圏央道の26年度までの全線4車線化を要望。あわせて、高速道路を補完する直轄国道やスマートICなどの整備推進を求めた。
港湾整備では、茨城港常陸那珂港区における基幹産業の競争力強化や鹿島港における新産業の創出などに向け、岸壁や防波堤などの整備による港湾機能強化を要望した。また、カーボンニュートラルポート形成に関連して、港湾機能の高度化と民間企業の設備投資に対する支援も求めている。
鉄道については、本県の活力を更に高めるため、東京都心と本県を結ぶ都市鉄道ネットワークの構築が重要と指摘。そこで、つくばエクスプレスの東京延伸の早期実現と県内延伸に向けた支援を要請した。あわせて、地下鉄8号線の県内延伸の前提となる押上からの延伸の早期実現に向けた支援を求めている。