街路空間や走行環境を 都心部まちづくりプラン作成へ(宇都宮市)
[2022/6/7 栃木版]
宇都宮市はこのほど、市役所で第1回(仮称)まちづくりプラン策定懇談会(会長・大森宣暁宇都宮大学教授)を開催し、プラン策定に向けての協議を行った。まちの望ましい状態として、居心地がよく歩きたくなる街路空間、各種施設に加え災害に強くデジタルや省エネなどが充実した都市機能、駐車場の適切な配置、自転車等の走行環境の整備を挙げている。今後は約1年間かけて検討を進め、まちづくりプランを策定する。
デジタルやエネ機能を充実
市は2月に都心部まちづくりビジョンを策定し、市民が自動車、公共交通、自転車などの多様な交通や充実したまちの機能を利用し、誰もが豊かで便利に暮らせる都心部を目指している。同ビジョンの対象地区は、中心市街地を中心とした、LRTを計画する大通り沿線(JR宇都宮駅~桜通り十文字、L約3km)のエリア。このエリアを対象に、安全・安心な歩行空間や自転車走行空間の確保、市街地の緑化、再エネ設備の普及促進、都市機能・居住誘導の推進、駐車場適正配置の誘導・推進、交通結節点やLRT等の基盤整備、新たな街路空間の構築などに取り組む。
市は、市民・事業者・行政が都心部のビジョンの具現化に向けて、交通手段の共存、移動しやすく魅力あふれる都心部の形成を目指し、多様なまちの機能の充実や居心地の良さの向上などに資する街なかの空間形成を官民協働で推進するため、(仮称)まちづくりプランを策定する。プランは10年先(2030年ごろ)の都市の姿を展望し、ネットワーク型コンパクトシティ(NCC)の形成を目指す2050年を見据えたものとする。
ビジョン実現に向けては、街なかの空間形成(道路や沿道の土地、建物などの利用)を▽歩行者や自動車、公共交通などの円滑な移動▽歩く人の目線から感じられる道路など公共空間の居心地のよさ▽多様なニーズに応えるまちの機能▽交通結節機能(駐車場や端末交通の導入など)▽新技術活用や脱炭素化の推進-などを備えたものに変える必要があるとしている。計画については、まちづくり施策の取組方針や、エリアの特性を踏まえたまちづくりの進め方を盛り込む。
まちづくりの視点としては▽街路空間▽都市機能▽交通結節機能(路外駐車場、路上駐車、駐輪場など)▽端末交通(自転車や電動キックボード等の新たなモビリティ、路肩や歩道等の走行環境など)-とした。
街路空間は、居心地がよく歩きたくなる空間とし▽ベンチの設置▽身近に緑が感じられる空間を形成▽建物の作りに大谷石を生かした宇都宮らしさなどが感じられる▽民地の軒先の位置や見た目など、景観に統一がある-などとしている。
都市機能は▽買い物、食事、医療、趣味・娯楽・余暇が楽しめる、子育て支援の施設などが充実▽共同オフィスやワーキングスペースが充実▽建物の更新が進み、災害などに強い空間の形成▽バリフリー化▽デジタル技術の普及(デジタルサイネージなど)▽省エネ、創エネ、蓄エネを備えた建物が増えている▽低未利用地(空き地、空き家)を活用-などとする。
交通結節機能は、路外駐車場の量や配置を適切にすることで、道路や民地を有効に活用。路上の荷捌きが効率的に行える空間や環境を整え、シェアサイクルやLRTなどの交通結節機能を充実させるとしている。
端末交通については、八万山公園や城址公園などから目的地まで、シェアサイクルや電動キックボードなどの端末交通に乗り換えて移動できるとし、走行環境を整えて安全・安心で快適に大通り沿線にアクセスできるようにする。
なお委員からは、駐車場へ電動車の充電設備の設置などの意見が出されている。