雨水流出抑制対策など 県減災対策協議会 第2期取組方針を決定
[2022/5/28 栃木版]
本年度第1回の県減災対策協議会が25日、県庁の県土防災センターと各会員をオンラインで結んで開催された。今回は、2021年度で終了した第1期5カ年の総括を行うとともに、新たに22年度からの取組方針について審議し、「水防災意識社会再構築ビジョン」に基づく県の減災に係る取り組み方針の次期計画を策定した。次期計画は22年度から26年度を計画期間とし、目標を引き続き「逃げ遅れによる人的被害0(ゼロ)」とする。目標達成に向けて、今回新たに「河川への雨水流出抑制対策」と「災害に強い交通ネットワークの構築」の2項目を追加し、具体的な取り組みを進めていくこととした。
協議会の冒頭、会長の福田富一知事に代わり、坂井康一県土整備部長があいさつ。「昨年9月の協議会で県流域治水プロジェクトを策定した。本年度はプロジェクトを推進するため、取り組み効果の可視化に取り組み、普及啓発を図っていく」と協力を求めた。
また「近年、洪水などによる災害が頻発・激甚化する中、いつどこで災害が起きてもおかしくない。このため本協議会を通じて、洪水からの逃げ遅れによる人的被害ゼロを目指し、各種取り組みを着実に進めていきたい」と話した。
今回の協議会ではまず、県減災対策協議会の第1期5カ年の総括を実施した。第1期は、5年間で達成すべき目標に県内で「逃げ遅れによる人的被害0(ゼロ)」と定め、河道拡幅や護岸整備、砂防堰堤や急傾斜地崩壊対策施設などのハード対策を順次実施したほか、避難行動のための取り組みと水防・土砂災害防止活動の取り組みの2本柱のソフト対策を実施した。
しかしながら、東日本台風で人的被害が発生し、そのうちの一部は逃げ遅れによる被害によるものと見込まれるとして、取り組みは概ね達成できたものの、「逃げ遅れによる人的被害ゼロ」の目標は達成できていないと総括した。
これを踏まえ、次期計画の策定方針は、達成すべき目標について第1期を継続し、「逃げ遅れによる人的被害0(ゼロ)」とする。この目標達成に向けた取り組みは、現在の取り組みを継続するのに加え、ハード対策に▽「法改正」に伴う洪水浸水想定区域図の作成等▽「県流域治水プロジェクト」に掲げている取り組み-の2つを追加して、内容の拡充を図る。
追加する具体的な取り組みは、「河川への雨水流出抑制対策」として雨水流出抑制施設の整備・促進、田んぼダムの普及・促進、「災害に強い交通ネットワークの構築」として緊急輸送道路の整備、道路アンダーパス部の冠水対策を盛り込み、順次実施や検討を進めていくこととする。
今回の協議会ではあわせて、県流域治水プロジェクト推進事業についても県河川課から各市町に説明した。流域治水は新たな概念で、住民や企業の認知度が低いことから、流域治水に関する取り組みの種類や規模、効果を「見える化」してあらゆる関係者に普及・啓発を行い、参加を促すことで取り組みの充実・強化につなげていく。
取組効果の見える化では、洪水浸水想定区域図および浸水リスク図を策定した82河川を対象に、県内11流域毎に取り組み実施の有無による浸水範囲の違いを示した浸水想定区域図を作成する。この見える化した資料を活用して普及啓発を行うこととし、本年度は6月にも市町から公共施設の台帳など資料を収集し、9月ごろに中長期(概ね30年)の流出抑制対策取組量を設定。23年1月ごろから「見える化」ツールを用いた普及啓発を開始すると説明し、市町の協力を求めた。