脱炭素化で各種支援 市町が空き家や交通計画策定(栃木県市町村長会議)
[2022/5/26 栃木版]
本年度の市町村長会議が24日、県公館で開催され、県市長会と県町村長会から提出された要望や県が提出した事項などを協議した。空き家対策や地域公共交通対策などについて、県は市町へ支援を行うとし、計画の策定を進めていく。県は脱炭素化に向けて、建築物や住宅のゼロエネルギー化、技術開発など産業への各種支援、脱炭素先行地域の創出などの取り組みを進めていく。
市長会および町村会が提出した協議事項は▽空き家対策に関する財政支援▽生活交通路線への補助金の交付要件の緩和▽ICTを活用した教育の推進-などとなった。
このうち空き家対策に関する財政支援では、空き家等の除却・利活用などを行う地方公共団体について、空き家対策総合支援事業の地方公共団体負担分への県費の一部負担を要望。本県では22市町で空き家等対策計画を策定しており、未策定の残り3市町でも、県は国の補助が利用できるよう支援するとした。
県は引き続き、空き家対策で支援を行うとしており、国に対して空き家対策の支援拡充や予算確保を要望していくほか、支援のあり方を検討していくと答えている。市町から、国では移住者のみが空き家対策の補助対象となっており、移住者以外への支援や県独自の対策を求めたことについても、県は国へ要望を行うとしている。
生活交通路線への補助金の交付要件の緩和では、23年度までに県や前市町で地域公共交通計画の策定を予定しており、県は市町の支援のあり方を検討。県の計画については、22年度中に調査検討を行い、計画の策定を行うとしている。
ICTを活用した教育の推進では、端末等の更新における共同調達や更新費用への支援を検討すべきと要望。県は、機器更新などへの支援について、国に要望を行っていくとした。
県から提出した協議事項では、2050年とちぎカーボンニュートラル実現に向けたロードマップの策定および今後の推進を挙げた。県は2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ実現を目指すことを宣言し、ロードマップを策定している。
ロードマップによると、温室効果ガス排出量の早期削減、エネルギーの地域内循環、脱炭素に向けた県内産業の成長を目指すとしており▽化石燃料使用設備の転換▽省エネと創エネによる事業継続対策の強化▽脱炭素化の動きを捉えた産業の成長▽省エネと創エネによる建築物のゼロエネルギー化(ZEB化)の推進▽省エネと創エネによる住宅のゼロエネルギー化(ZEH化)の推進▽工業プロセス等における対策の強化▽森林整備の推進▽電力の脱炭素化-を進め、30年度までに基準年度(13年度)の50%削減、50年度の実質ゼロを目指すとした。
重点プロジェクトについては▽とちぎグリーン成長産業創出プロジェクト(技術開発や脱炭素化社会に資する産業の創出など)▽とちぎ再生可能エネルギーMAXプロジェクト(太陽光、水力、森林等の地域資源を活用して再生可能エネルギーを最大限導入)▽とちぎ脱炭素先行プロジェクト(再エネの最大限導入や省エネ等による脱炭素先行地域を創出し、県内各地に展開)▽とちぎ県庁ゼロカーボンプロジェクト(県庁は13年度比80%削減を目指し、公用車の電動車化などを実施)-を挙げている。
県からは▽栃木県権限移譲基本方針の改定▽とちぎグリーン成長産業振興指針の策定▽県立高校の将来構想の策定-が報告された。
栃木県権限移譲基本方針の改定では、権限移譲フォーラムを新設して毎年度開催するほか、移譲対象事務や推進期間の見直しを実施。改定した基本方針の公表は、6月を予定している。
とちぎグリーン成長産業振興指針は、2050年とちぎカーボンニュートラル実現に向けたロードマップ等を踏まえ、本県の産業分野の基本姿勢や方向性を示すための指針となっている。
指針では、成長産業を[1]基幹産業(自動車・蓄電池産業、航空機産業)[2]次世代産業(太陽光や地熱などの次世代再生可能エネルギー産業、水素・燃料アンモニア産業、半導体・情報通信産業、カーボンリサイクル・マテリアル産業、資源循環関連産業)[3]萌芽産業(次世代熱エネルギー産業、原子力産業、土木等インフラ産業、住宅・建築物産業、次世代電力マネジメント産業など)-に3分類した。
県では▽機運醸成・環境整備(セミナー開催やアドバイザー派遣、融資制度の創設など)▽技術開発等への支援▽新産業の創出・育成▽企業誘致・定着の強化(カーボンニュートラル実現に資する投資を対象にした補助制度の拡充)-などを行うとしている。
県立高校については、将来構想を策定する。県立高校の適正規模や適正配置など、今後の望ましいあり方について広く意見を聴取するため、6~7月にかけて県内各所で高校再編県民フォーラムを開催するという。